物流大手である佐川急便の物流センターでこのほど、元ボッシュ社員の創業した株式会社LexxPluss(本社:神奈川県川崎市/代表:阿蘓将也)の自動搬送ロボットが導入された。
具体的には、次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」佐川急便中継センターに、LexxPlussの自動搬送ロボット「Hybrid-AMR」が12台導入され、不定形貨物搬送オペレーションの大規模な自動化を開始したという。
■佐川急便が自動搬送ロボを導入した経緯
Xフロンティア佐川急便中継センターでは、荷物の9割をベルトコンベアなどで構成される自動仕分け機で処理しているが、大型で不定形の荷物は自動仕分け機にのることができず、人の手で仕分けられた後に台車で搬送されていた。
ロボットの導入による自動化を行ったこともあったが、24時間稼働しているセンターにおいて、臨機応変に搬送工程を効率化できるロボットがないため、全て自動化するのはできずにいた。
そんな中でLexxPlussのHybrid-AMRを導入し、大規模な自動化に取り組んでいくという。
■Hybrid-AMRに搭載されている機能は?
Hybrid-AMRには、2つの技術が搭載されている。自律的に障害物を検知・迂回できる「AMR」(自律走行搬送ロボット)技術と、繰り返し精度と作業スピードを保証できる「AGV」(無人搬送車)技術だ。
この基本機能に加え、Xフロンティア佐川急便中継センターでは、搬送先の状況にあわせて規則正しく荷物を駐車する「自動整列駐車機能」や、空台車を回収する「空台車回収機能」などの最新機能を実装しており、荷物や台車の滞留を軽減する方法で自動搬送システムを導入したという。
また、LexxPlussの走行管理システム「Konnectt」は、日本語を母語としない作業員でも利用可能な言語非依存性のインターフェースや50台以上のロボットを一括管理する機能があり、シンプルな作業のみで現場作業の大規模な自動化を可能にするという。
両社は運用中のデータをクラウド上に蓄積・分析することで、搬送効率をさらに向上させていくとしている。
■注目を集めるベンチャー企業LexxPluss
LexxPlussは、2020年3月に元ボッシュ社員の阿蘓氏が創業した。
2022年6月から「Open Source Industrial Roboticsプログラム」を開始した。これは、Hybrid-AMRをはじめとしたロボティクス・オートメーション製品の技術情報について、パートナー企業向けに無償公開し、自由に活用可能な取り組みだ。このプログラムには現在20社以上が加盟しているという。
日本における自動運転関連の注目ベンチャーとして、引き続き動向をウオッチしていきたい。
【参考】関連記事としては「自動搬送ロボベンチャーのLexxPluss、資金調達を発表!人員・生産体制強化」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)