総合塗料メーカーの日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社(本社:東京都品川区/代表取締役社長:塩谷健)が開発した自動運転用塗料「ターゲットラインペイント」が、自動運転バスの実証実験で用いられる。
実証実験は、2022年12月〜2023年2月に滋賀県大津市で行われる。実証に参加するのは、大津市、京阪バス、京阪電気鉄道、先進モビリティ、BIPROGY、日本ペイント・インダストリアルコーティングスの6者だ。
■アスファルトと同化する色なのに・・・
ターゲットラインペイントは、日本ペイント・インダストリアルコーティングスが開発した特殊塗料で、自動運転車向けのコアセンサー「LiDAR」が認識でき、走行経路に塗装するだけで自動運転用のインフラ整備が可能となる。
非常に導入が容易なものであるため、初期費用やメンテナンスのコスト削減が見込めるという。山林やビルなどによりGPSが入りにくい場所でも、塗装されたペイントを認識させて走行を支援することができる。
なお、ターゲットラインペイントは目視ではアスファルトと同化する色となっており、道路の路面標示と誤認しないラインの形成ができ、安全面にも配慮されている。
■大津市で行われる自動運転バスの実証
実証実験では、自動運転装置を搭載した小型ディーゼルバスと小型電気バスが、びわ湖大津プリンスホテル~琵琶湖ホテル~JR大津駅の区間を運行する。また、自動運転バスの利用促進と大津市内の回遊性向上を目的とした、大津市自動運転・京阪バス大津市内乗車券アプリを提供するという。
小型ディーゼル自動運転バスは2022年12月10日~2023年2月4日の毎日運行し、料金は片道で大人210円となっている。小型電気自動運転バスは2023年2月8〜28日の毎日運行し、無料で乗車できる。
日本ペイント・インダストリアルコーティングスがターゲットラインペイントを提供し、京阪バスが自動運転バスの運行、先進モビリティが自動運転バスの提供を行う。京阪電気鉄道が踏切との連携、BIPROGYが周遊促進アプリの提供、大津市が統括などを担っている。
■広く海外でも活用される可能性も
自動運転車の実証実験では、どういった視点を持つかによって注目すべき点が異なってくる。この実証実験では自動運転バスの走行技術や料金などにも関心が寄せられるが、自動運転バスを走行させるための「インフラ」も同時に重要なことは言うまでもない。
そして、自動運転バスの実用化は海外でも広く取り組まれつつあり、日本ペイント・インダストリアルコーティングスのターゲットラインペイントは、広く海外でも活用される可能性を秘めている。引き続き、同社に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「道路のカラー塗装が自動運転の課題に センサーの車線認識精度が低下」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)