中国のIT大手・百度(Baidu)は、同社の自動運転タクシーサービス「Apollo Go」が140万ライドを突破したことをこのほど明らかにした。
Apollo Goは2021年から中国の一部でサービスを提供しているが、2022年第3四半期だけで140万回の乗車のうちの3分の1を占めているという。
■2019年に実証が始まったApollo Go
Baiduは2019年からApollo Goの実証実験を行っている。2021年11月には、北京当局から自動運転タクシーの公道での商用運行許可を取得している。2022年8月には重慶と武漢の2都市において、中国で初めて公道で完全無人でのタクシーサービス提供の許可を得ている。
同社は2022年末までに600台の自動運転タクシーを稼働させることを目標にしている。2023年はサービスの提供範囲の拡大にも力を入れ、中国No.1はもちろん、世界No.1の自動運転タクシー企業の地位を確立したい考えのようだ。
■20日間あれば新規都市で展開可
Baiduは2013年ごろに自動運転開発に着手したとされる。2017年に発表したオープンソフトウェアプラットフォーム「Project Apollo(アポロ計画)」を契機に、他社を交える形で開発を大幅に加速し、中国における自動運転開発を主導する位置まで成長を遂げた。
米国においても、カリフォルニア州でセーフティドライバー付きの自動運転を公道で認める「Testing with a Driver」と、完全無人の自動運転を公道で認める「Driverless Testing」の両方で公道での走行テストの認可を受けている。
2021年6月には、BAIC傘下のEVブランド「ARCFOX」と共同開発した新世代のシェアサービス向け量産自動運転車「Apollo Moon」を世界初公開した。製造コストは1台あたり48万元(約900万円)で、業界におけるレベル4モデルの平均コストの約3分の1とされている。
同社は、20日間あれば新規の都市をセーフティドライバー無しでの自動運転タクシーサービス提供エリアに加えられると豪語している。これは、地図生成の約96%がAI(人工知能)によって自動化できるからという理由による。また、AIを用いた独自のシステムにより、複雑な物体認知を素早くできるという。
■あっという間に全主要都市で展開?
かつて中国企業は事業展開の「スピード感」が際立っていた印象だったが、近年は「技術力」もついてきている。百度は、技術力を伴ったスピード展開を武器に、あっという間に中国の主要な全都市で自動運転タクシーを展開することになるのだろうか。
【参考】関連記事としては「中国の自動運転タクシー事情(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)