米インテル傘下で自動運転の技術開発を行っているイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)が、このほど米ナスダック市場に上場した。
上場は2022年10月26日付。初値は公開価格の21ドルを大きく上回る26.71ドルで、初日の終値は公開価格を約38%上回る28.97ドルだった。終値ベースの時価総額は230億ドル(約3兆4,000億円)。翌27日は前日より少し値を下げたものの、それでも27.40ドルと、比較的手堅い水準での引けとなった。
モービルアイにとって上場は今回で2度目となる。前回は2014年で、米ニューヨーク証券取引所に上場したが、2017年にインテルに買収されたことに伴い、上場廃止となった。
■米国では2022年最大の大型案件に
米国では、SPACブームに乗ってここ数年で株式市場に上場した自動運転スタートアップ企業の株価が、2022年の世界的な株安の影響で最近は大きく下落している。そうした状況でのモービルアイの上場に関し、悲観的な見方をする投資家も少なくなかった。
2022年に予定されていたIPOでは、上場延期や上場そのものを断念する動きなども見られ、悲観ムードを高めた。そんな中、結果としてモービルアイは2022年における米国上場案件としては最大規模になった。
モービルアイはインテルの後押しもあり、自動運転ベンチャーの中でも一際目立つ存在となりつつある。ADAS(先進運転支援システム)向けソリューションですでに実績があることも注目が集まっている理由の1つだ。
そんなモービルアイだけに、同社の今後の株価の推移は、すでに上場している自動運転関連ベンチャーの株価の推移を、良い意味でも悪い意味でも牽引する可能性がありそうだ。
■アムノン・シャシュア氏率いるMobileye
モービルアイは、CEO(最高経営責任者)のアムノン・シャシュア氏が1999年にイスラエルで創業した企業だ。コンピューター・ビジョンを駆使した視覚システムを武器に、ADASソリューションの開発・製品化を手掛けつつ、自動運転分野にも注力してきた。
例えば、同社が次世代ハンズフリーADASと位置付ける「Mobileye SuperVision」は、車載SoC「EyeQ5」や長距離・短距離カメラで車両周囲を360度監視することが可能だ。高速道路におけるハンズフリー走行やオンデマンドのセルフパーキング機能もあり、OTAアップデートでさらなる進化を予定している。
ADASで市場の信頼を得ながら、自動運転技術の開発に余念がないモービルアイ。同社のティッカーシンボルは「MBLY」だ。株価の推移に着目してみてはいかがだろうか。
▼Mobileye公式サイト
https://www.mobileye.com/
【参考】関連記事としては「Mobileye(モービルアイ)と自動運転(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)