韓国政府はこのほど、2027年までに「自動運転レベル4」の自動運転車を商用化し、自動運転機能を備えた新車の普及率を2035年に50%以上にする計画を発表した。韓国の日刊紙ハンギョレが報じた。
レベル4の商用化期限を政府自らが設定し、その実現に向けて法整備や民間企業に対する支援を強化していくとみられる。
韓国では最近、Hyundaiや新興ベンチャーによる自動運転プロジェクトが加速している印象だ。ちなみにレベル3の自動運転車の商用化については、官民が連携し、2022年末までに実現させる計画を明らかにしている。
■「モビリティ革新ロードマップ」で目標設定
ハンギョレの報道によると、2022年9月19日、国土交通部長官のウォン・ヒリョン氏が「モビリティ革新ロードマップ」を発表した。ロードマップは、国土交通部などの政府機関と民間の専門家27人が参加したモビリティ革新委員会が議論した上で策定されたという。
ロードマップでは2024年までに、自動運転車の安全基準や自動運転レベル4の自動運転車に適用される保険など、関連する制度・仕組みを整備していくようだ。
そして、2025年には自動運転レベル4の自動運転バスやシャトルを発売できるようにして、2027年には自動運転レベル4の乗用車を発売できるようにしたい考えのようだ。
さらに2030年までに、全国の高速道路や国道、地方道11万キロメートルにおいて、「次世代知能型交通システム(C-ITS)」も構築する計画だという。
■自動運転レベル4の技術水準は?
そもそも自動運転レベル4とは、「高度運転自動化」を指す。特定エリアにおいて、自動運転システムが全ての運転タスクを持続的に実行できる技術水準を指し、人間のサポートを全く前提としていない。つまり「特定エリアにおける完全自動運転」とも言い換えられる。
レベル4に関しては世界的な潮流として、市販車よりも自動運転タクシーや自動運転シャトルへの搭載が先になると言われている。
【参考】関連記事としては「自動運転、レベル3とレベル4の違いは?(2022年最新版)」「自動運転、レベル4とレベル5の違いは?(2022年最新版)」も参照。
■無人配送ロボの活用へ道交法改正も
韓国政府は自動運転車だけでなく、ロボットやドローンを使った無人配送も活発化させていこうとしている。配送ロボットが歩道を通行できるよう、道路交通法の改正も行う方針だ。
昨今、自動運転業界では韓国勢の存在感が高まりつつある。今回のロードマップの発表、そしてロードマップの遂行により、さらにその流れは加速していくかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転と韓国(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)