「アメリカのライドシェアアプリは?」と聞けば、多くの日本人はUber(ウーバー)と回答するかもしれないが、実際にアメリカにおいては、業界2位のLyft(リフト)の知名度も高い。
そんなLyftがここ数年、ライドシェアサービスで自動運転車を呼べる仕組みの展開に取り組んでいることをご存じだろうか。ライドシェアサービスで配車をすると自動運転車が来るということは、同サービスにおいて人間が不要になる未来を想起させる。
■パートナーはArgo AI
Lyftがパートナーシップを組んでいる自動運転企業は、フォードなどから支援を受けているArgo AI(アルゴAI)だ。米メディアの報道によれば、すでにフロリダ州マイアミでは、LyftのアプリからArgo AIの自動運転車を呼べるサービスが開始されているようだ。
そして近々、2都市目での展開も始まる予定だという。その都市とはテキサス州オースティンで、Argo AIの幹部は「オースティンの道路は交通量が多いため、オースティンで運用できればどんな都市でも運用できる」と述べている。
実際にオースティンで展開される時期については、幹部からは明言はなかったが、近い将来であることは間違いないという。ちなみに最初は運転席に人間を乗せての運行となるが、しばらくして安全が確認されたあと、「完全無人」を実現するという。
ちなみにArgo AIは2019年からオースティンで自動運転のテストを展開してきた経緯がある。
■ライバルはWaymoやCruise
「ライドシェアで自動運転車を呼ぶ」という枠組みは、実質的には「自動運転タクシー」と言える。そのためLyftとArgo AIのライバルは、Google系WaymoやGM傘下のCruiseとなる。
Waymoはアリゾナ州とカリフォルニア州、Cruiseはカリフォルニア州で事業をすでに商用展開している。つまり簡単に言えば、両社は米西海岸側を舞台に事業を展開しているわけだが、一方のLyftとArgo AIは米南部のテキサス州と南東部のフロリダ州が事業の地だ。
いずれは各社が事業展開を拡大していけば、サービスの展開エリアが各社重なっていくことは間違いなく、自動運転タクシーサービスの事業者間競争は熾烈なものになることは必至だ。
今回のような、ライドシェアで自動運転車を呼べる仕組みの展開や、自動運転タクシーの展開に関するニュースでは、こうした「現時点ではどこで展開されているか」といった視点も持っておきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)