米航空大手、空飛ぶクルマに1,000万ドルの事前支払い

ユナイテッド航空、事業化に意欲

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飛行機やヘリコプターに代わる新たな空の移動手段として注目が高まる「空飛ぶクルマ」。既存の航空会社にとっては戦々恐々する次世代型モビリティかもしれないが、米大手航空大手のユナイテッド航空は積極的にこの新モビリティで事業化しようと努めているようだ。

米メディアの報道によれば、ユナイテッド航空はこのほど、米Archer Aviationが開発する空飛ぶクルマに対し、1,000万ドル(約13億円)を支払ったようだ。

両社は2021年2月に提携を交わしており、ユナイテッド航空は米メサ航空と協力し、Archer AviationのeVTOL(電動垂直離着陸機)を最大200機購入する意向を示していた。今回報道されたのは、その事前支払いであるようだ。

■FAAからの認定取得前に事前支払い

Archer Aviationが開発するeVTOLは、渋滞する高速道路の陸上移動に代わって、都市部から空港への移動手段としての使用を想定しており、2024年までにFAA(連邦航空局)からの型式認定取得を目指している。

つまり、FAAからまだ認定を取得していないにも関わらず、ユナイテッド航空はArcher Aviationに多額の事前支払いをした格好だ。このことから、Archer Aviationがユナイテッド航空から大きな信頼を得ており、なおかつユナイテッド航空も同分野に力を入れていることが分かる。

ユナイテッド航空ベンチャーズのマイケル・レスキネン社長は「eVTOLは世界中の都市で革新的な移動ツールとして役立つ可能性があると考えている」とコメントしている。ユナイテッド航空がまず米国で初めて空飛ぶクルマをサービス展開する航空会社となるか、注目だ。

■Archer Aviationってどんな企業?

2018年設立のArcher Aviationは、米カリフォルニア州に本拠を置き、都市部のエアモビリティネットワークで使用するeVTOLの開発を行っている。

2021年には欧州の自動車メーカーであるステランティスと製造・設計分野で提携しており、2023年にも機体の生産に着手する見通しだ。ちなみに2021年9月にニューヨーク証券取引所にSPAC上場しており、eVTOLの試験飛行は2021年12月に開始されている。

またArcher Aviationは、ユナイテッド航空やステランティスのほかにも、米空軍や北米最大のモビリティハブオペレーターであるREEFとも協力関係にある。

▼Archer Aviation公式サイト
https://www.archer.com/

■日本でも全日空やJALが事業参入

ちなみに航空会社が空飛ぶクルマ事業に参入する事例は日本でも見られる。

全日本空輸(ANA)は2022年2月に米Joby Aviationと連携し、eVTOLを活用した旅客輸送サービス実現に向けた検討を開始している。また日本航空(JAL)は空飛ぶクルマを開発するドイツのスタートアップVolocopterなどに出資しているほか、東京都内での空飛ぶクルマの実現に向けて取り組んでいる。

空飛ぶクルマの市場は確実に拡大している。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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