「レンタカーを取りにいく」・・・。こうした行為は近い将来、時代遅れとなるかもしれない。レンタカーを遠隔運転して無人で客の自宅まで届けるアイデアが、海外で実用化されようとしているからだ。
■ラスベガスではHalo.carが試験実施
例えば米ラスベガスでは、ラスベガスを拠点にレンタカー事業を展開しているHalo.car社がテストに乗り出すことが明らかになっている。ネバダ州自動車局が同社に許可を与え、遠隔運転機能を搭載したレンタカーを使って試験サービスが行われる。
レンタカーはHalo.carの従業員が遠隔操作するが、サポートオペレーターが同乗し、テスト中に万が一の事故が起こらないようにする。ラスベガスの住民や観光客に客となってもらい、実際に利用した感想などをサービス向上に役立てる方針のようだ。
米メディアの報道によれば、安全性が当局に認められれば、2022年後半にも商用サービスとして事業を展開させる方針だという。商用サービスは2年以内に全米に拡大する目標を立てており、展開車両数は「1,000台以上」を初期の目標として据えているようだ。
ちなみに同社はこの遠隔運転の機能を「リモートパイロット」と呼んでいる。遠隔運転に必要な通信技術について、アメリカの携帯電話事業者のT-Mobileとともに技術を開発しているようだ。
■イギリスでは新興Imperium Driveが・・・
自動運転ラボでは過去にも無人でレンタカーを客のもとに届ける取り組みを紹介したことがある。詳しくは「レンタカーが自動運転で自宅に届く!イギリスで実証中」を参照してほしいが、サマリーは次の通りだ。https://jidounten-lab.com/u_35607
この取り組みはイギリスで実証的にスタートしたもので、レンタカーがユーザーの自宅まで自動運転で届けられ、乗り終わったあとは自動車が自動運転でレンタカー会社まで戻っていく、というものだ。
ちなみにこの実証的な取り組みは、イギリスのスタートアップ企業であるインペリウム・ドライブ(Imperium Drive)が進めている。
■「自動運転」でも「遠隔運転」でも
インペリウム・ドライブの場合は「自動運転」で、アメリカのHalo.carの場合は「遠隔運転」で、無人でレンタカーを客のもとに届けている。
「自動運転」か「遠隔運転」かに違いがあるが、顧客視点でみた便利さは変わらない。どちらの場合でもレンタカーを受け取りに行かなくていいからだ。
いずれ欧米、そして日本においても、「レンタカーを取りにいかなくてもいい時代」がやってくる予感。
【参考】関連記事としては「自動運転時代のサービス」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)