神奈川中央交通株式会社(本社:神奈川県平塚市/取締役社長:堀康紀)と慶應義塾大学SFC研究所は、自動運転バスの運行を2022年5月12日から開始した。
両者は、2021年から同大学湘南藤沢キャンパス(SFC)循環シャトルバス「鴨池急行SoKanKan」の自動運転化に向けた共同研究に取り組んできた。
現時点では「自動運転レベル2」での運行となるが、2025年度に「自動運転レベル4」の実現を目指す。ゆくゆくは神奈川中央交通の一般路線への自動運転バス導入を視野に入れており、今回の運行はその第一歩となる。
■SFC研究所の技術やLiDARなど搭載
鴨池急行SoKanKanは、2019年から神奈川中央交通が運行を受託している。今回の自動運転バスの運行は、神奈川中央交通所有の車両にSFC研究所の技術を搭載して行われている。
運行区間はSFC看護医療学部発着の循環線で、約2.2キロのルートを走行。そのうち1.3キロは大学構内、0.9キロは公道を走行する。
車両は三菱ふそうトラック・バスの小型マイクロバスで、運転士を含む定員は26人となっている。GNSS(衛星測位システム)とLiDARにより自己位置を推定し、高精度地図の車線情報や自己位置情報から所定の経路の車線を維持するという。
冒頭も触れたが、今回は自動運転レベル2での運行となり、部分的に自動運転化がされているものの、必要に応じて運転手の操作が求められる。そのため運転席には常に運転手が座るかたちで運行している。
■レベル4実現に向けた官民タッグに注目
自動運転レベルは一般的に米自動車技術会(SAE)の基準が使われ、レベル0~5の6段階に分けられている。
自動運転レベル1〜3は人の介入が必要となる水準で、自動運転というより「運転支援」というニュアンスのほうが近い。一方、レベル4〜5は走行エリアによるが、人間の運転操作を全く必要としない水準を指す。
段階 | 名称 | 主体 | 走行領域 |
レベル0 | 運転自動化なし | 人 | – |
レベル1 | 運転支援 | 人 | 限定的 |
レベル2 | 部分運転自動化 | 人 | 限定的 |
レベル3 | 条件付き運転自動化 | 車 | 限定的 |
レベル4 | 高度運転自動化 | 車 | 限定的 |
レベル5 | 完全運転自動化 | 車 | 限定なし |
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義・呼称・基準は?」も参照。
神奈川県は自動運転技術やロボット技術の実用化によって地域社会を下支えすることを目指しており、自動運転バスのレベル4化の実現に向けて、規制緩和や安全対策の支援に取り組む方針だ。神奈川中央交通との取り組みがどのような進展をみせるのか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転バス・シャトルの車種一覧(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)