総合塗料メーカー大手の日本ペイントホールディングスは2022年5月4日までに、グループ会社が開発した「自動運転用塗料」を自動運転の実証実験に提供することを発表した。一体、自動運転用塗料とはどういうものなのか。
■自動運転車のみが認識できる塗料
ターゲットラインペイントと呼ばれる自動運転用塗料を開発したのは、日本ペイント・インダストリアルコーティングスだ。自動運転車のみが認識できる塗料であることが特徴となっている。
この塗料は、長崎県対馬市の公道で5月19〜22日に実施される実証実験で使用され、ターゲットラインペイントが塗装されたラインに沿って自動運転車が走行するという。
実証実験には、長崎県対馬市、シダックス、明治大学自動運転社会総合研究所が参加する。シダックスは実証のための車両を対馬市へリースし、明治大学自動運転社会総合研究所は自動運転システムの開発を担う。
■アスファルトと同化!3つの強みとは?
ターゲットラインペイントを開発した日本ペイント・インダストリアルコーティングスは、日本ペイントから工業用塗料専業会社として2015年に分社化した企業だ。産業機械や電気製品、鉄道、家具、住宅、社会インフラなど多様なマーケットを事業対象としている。
ターゲットラインペイントには3つの強みがある。1つ目は自動運転車の導入コストを削減できることだ。自動運転のためのインフラの一部が塗装するだけで整うからだ。
2つ目は、GPS(全地球測位システム)が届かない場所でも、ターゲットラインペイントをセンサーが認識できさえすれば、自動運転ができるという点だ。トンネル内などに向いていると言えそうだ。
3つ目は、塗料にはアスファルトと同化する色を採用していることだ。自動運転用センサーであるLiDARでは認識可能だが、人間の目では視認されにくいため、人間が路面標示や白線などと誤認することがない。
■他社ではなかなかないユニークな取り組み
塗料で自動運転ビジネスに参入した日本ペイント。他社ではなかなかないユニークな取り組みとして、業界でも注目を集めることになりそうだ。まずは実証実験の成果に注目したいところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転化で広がる「裾野の裾野」産業に注目せよ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)