「経営TOPとのパネルディスカッション」と題し、2022年4月1日、ホンダに入社した新入社員約400人とホンダ社長の三部敏宏氏が意見を交わした。
その中で「空飛ぶクルマ」や「自動運転車」が話題にあがり、三部社長は「空飛ぶクルマで移動後、自動運転車が迎えに・・・」といった趣旨の内容を口にしている。
空飛ぶクルマも自動運転車も、近年注目を浴びている未来型モビリティだ。具体的に三部社長は何と語ったのか、紹介していこう。
【参考】関連記事としては「ホンダの空飛ぶクルマ戦略とは?(2022年最新版)」も参照。
■ホンダの三部社長が語ったこと
「Hondaに期待される提供価値」というテーマにおいて、ある新入社員が「私が考える今のHondaの課題は、独自価値の提供です。(中略)Hondaは自動車以外の事業分野も数多く展開しており、多くのモビリティ技術を所有しているのが強みです。そこで、これらを組み合わせることによって新たな価値を創造し、お客様に提供することができると考えております」と述べた。
これに対して三部社長は「『Honda eVTOL(電動垂直離着陸機)』を利用してお客様が移動し、その後自動運転の車が迎えに来て、それらの予約をすべてスマホ上でできれば人がスムーズに移動できるでしょう。今後はデータをうまく活用してそのような新しいサービスを提供することが、我々がやるべきビジネスだと思っています」と応じた。
Honda eVTOLはホンダが開発中のいわゆる「空飛ぶクルマ」だ。
■ホンダは空飛ぶクルマと自動運転車を両方開発
ホンダは空の移動を人々にとってより身近なものにするため、Honda eVTOLの開発を進めている。通常、eVTOLはバッテリーの容量が少なく航続距離が短いが、ホンダの電動化技術を生かせば、都市内での移動だけでなく都市間の移動が実現できるようだ。
一方、自動運転車については2021年3月、日本で初めて「自動運転レベル3」の型式指定をホンダが得た。そして自動運転レベル3の技術「Honda SENSING Elite(ホンダ・センシング・エリート)」を搭載した「新型LEGEND(レジェンド)」を発売した。
新型LEGENDは、高速道路の渋滞時など一定条件下において運転手に代わりシステムが運転操作を担うことができる。当初の販売台数は100台でリースでの取り扱いとなり、車両価格は税込1,100万円だった。
■未来のモビリティをMaaSでつなぐ
このようにホンダは、空飛ぶクルマと自動運転車の両方をそれぞれ別々に開発しているが、三部社長が語るように、それらのモビリティを使った移動サービスを全てスマホで予約できるようにすることを想定しているようだ。いわゆるMaaSの取り組みと言える。
ちなみにトヨタは過去に「クルマを作る会社からモビリティカンパニーへ」と将来の方向性を掲げている。三部社長の言葉からは、ホンダも同じような将来を見据えていることが分かる。自動車会社が本格的にサービスに注力する時代がやってくることを予感させる。
【参考】関連記事としては「トヨタとホンダ、新たな戦い!空飛ぶクルマ、勝つのはどっち?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)