現在日本では、空飛ぶクルマを開発しているベンチャー企業はまだ1社も上場していない。それも当然だ。まだ上場基準を満たすだけの事業規模を有したベンチャーはないからだ。しかし、もしアメリカでブームになったSPAC上場が解禁されれば、状況は変わるかもしれない。
ベンチャー企業でも上場によって資金調達が可能になるSPAC上場が解禁された場合、すぐにでも上場話が噂されそうな空飛ぶクルマベンチャーは、日本で少なくとも3社ある。SkyDriveとテトラ・アビテーション、そしてエアロネクストだ。
【参考】SPAC上場とは、事業の実態を持たない「特別買収目的会社」を使った上場方法のことで、「空箱上場」とも呼ばれる。アメリカでは事業実績が少ない企業がSPAC上場するケースも少なくない。
記事の目次
■SkyDrive:空飛ぶクルマ業界のパイオニア
2018年7月設立のSkyDrive(本社:東京都新宿区/代表取締役CEO:福澤知浩)は、空飛ぶクルマとドローンの開発を進めている。2019年12月に日本初の有人飛行試験、2020年8月には公開有人飛行試験を実施した。
2021年10月には、SkyDriveの空飛ぶクルマの型式証明の申請が日本で初めて国土交通省に受理されている。これによって空飛ぶクルマの実用化へまた一歩近づいた。
【参考】関連記事としては「39億円の資金調達を発表!空飛ぶクルマ開発のSkyDrive、日本政策投資銀行などから」「「空飛ぶクルマ」の型式証明、申請・審査の流れは?SkyDriveが申請第1号に」も参照。
■テトラ・アビテーション:東大発スタートアップとして注目
2つ目は、東京大学発スタートアップのテトラ・アビテーション株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:中井佑 )だ。同社は2018年6月に設立。元々は1人乗り飛行機器を研究する組織からスタートしている。
2021年7月には、eVTOLの新機種「Mk-5(マークファイブ)」を米国で初公開し、予約販売も開始した。米国でプライベートパイロットライセンスを保有する富裕層向けに販売しながら顧客コミュニティーを形成し、量産へつなげていく考えのようだ。ちなみに価格は約4,000万円。
2022年2月には、大手自動車部品メーカーのテイ・エステックから出資を受けたことと、空飛ぶクルマ内装部品の共同開発契約を締結したことが発表された。
【参考】関連記事としては「約4,000万円!東大発テトラ、空飛ぶクルマの予約販売をいよいよ開始」も参照。
■エアロネクスト:空飛ぶゴンドラで話題に
3つ目は、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区/代表取締役CEO:田路圭輔)だ。
2017年4月設立の同社は産業用ドローンの研究開発を進めているが、2020年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の技術見本市「CES 2020」で空飛ぶゴンドラ「Next MOBILITY」を発表し、話題を集めた。
Next MOBILITYは丸いカプセルの前後に2本の翼が取り付けられており、その翼の上部にプロペラが設置されている形状となっている。エアロネクスト独自開発の重心制御技術「4D GRAVITY」が採用されており、風に強い特徴があるという。
【参考】関連記事としては「『空飛ぶゴンドラ』でアメリカへ乗り込む!エアロネクストがCES 2020出展」も参照。
■【まとめ】万博に向けて注目度アップ間違いなし
2025年の大阪・関西万博では、空飛ぶクルマを訪日客の移動手段として活用する案などが模索されており、2025年にかけて空飛ぶクルマの開発企業への注目度は一層増しそうだ。あくまでSPAC上場が解禁される前提で話を進めたが、果たしてどうなるか。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?実現時期や技術的要件は?(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)