トヨタ自動車は2022年2月3日までに、「KINTO FACTORY」という新サービスの提供を開始したことを発表した。
乗っているクルマを最新の状態に「進化」させるサービスで、「アップグレード」「リフォーム」「パーソナライズ」という3つのメニューをそろえている。まずは対象車種や施工対応できる店舗は限定してスタートするという。
自動運転ラボとして注目したい点は、この発表のプレスリリースの最後に、以下の一文が添えられていることだ。車載ソフトウェアについて、サブスク展開を視野に入れているとのことだ。
「KINTO FACTORY」では、こうした時代の潮流に対応していくべく、ソフトウェアのメニューについては、将来、単体の商品として扱うとともに、お客様による継続したご利用を想定し、一回ごとの「購入」だけでなく、「サブスクリプション」の形式でお届けすることを目指します。
トヨタは将来、自動運転ソフトウェアを商用展開すると思われる。そうすれば、自動運転ソフトウェアも米EV(電気自動車)大手テスラの有料オプション機能「FSD」ように、サブスク展開されることになるかもしれない。
【参考】関連記事としては「テスラFSD、「購入型」は何年目で「サブスク型」よりお得に?自動運転機能を将来搭載」も参照。
■KINTO FACTORYの3つのメニュー
KINTO FACTORYの3つのメニューについても触れておこう。
「アップグレード」では、クルマの基本性能を向上させる安全装備などを後付けする。「リフォーム」では経年劣化した内外装のリフレッシュやアイテム交換を行う。「パーソナライズ」は顧客の運転データにもとづき、個性や好みに合わせてクルマの設定を最適化する。
対象車種はトヨタ・レクサスの8車種で、東京都内と静岡県浜松市の29店舗で施工対応する。まずは「アップグレード」と「リフォーム」から開始する。「パーソナライズ」についてはサービス化に向けた準備を進めている段階のようだ。
「アップグレード」ではソフトウェアの書き換えをし、ブレーキ時の急激な揺れを抑え快適性を向上させるトヨタ初の機能「なめらかブレーキ」を反映する。
さらに、最新の安全装備である「パーキングサポートブレーキ(静止物)」や「ハンズフリーパワーバックドア」も用意している。「リフォーム」ではシートの表皮やクッションの取り替え、本革ステアリングホイールへの交換を行う。
■トヨタが目指している未来が垣間見えた
KINTO FACTORYのサービス自体も注目に値する内容だが、ソフトウェアのサブスク展開の可能性について言及されていた点は、非常に興味深い。トヨタが目指している未来の一端が垣間見えた気がする。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転戦略(2022年最新版) 車種や価格は?レベル3〜4はいつ実現?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)