2021年にホンダが自動運転レベル3の市販車を発売し、「市販車×レベル3」の幕はすでに開けた。2022年以降は引き続きレベル3の市販車、さらにはレベル4の市販車の開発に注目が集まるほか、公共交通においてはレベル4のシャトルなどの本格的な運用も始まる見込みだ。
つまり2022年も自動運転はビジネス界において重要なテーマとなり、民間企業の年頭挨拶でトップの口から「自動運転」というワードが出たケースは少なくない。
記事の目次
■堀場製作所:「自動運転ビジネスをグローバル拡大」
分析・計測機器大手の堀場製作所は2022年度、新設されたビジネスインキュベーション本部において、2022年度は4つの活動に注力するとしている。4つの活動のうちの1つとして、足立正之代表取締役社長は「ホリバMIRA社のコンピテンスを活かした、電動化・自動運転など次世代自動車技術に関するビジネスのグローバル拡大」を挙げた。
ホリバMIRAは、2015年にイギリス企業MIRAを買収し堀場製作所のグループ会社となっており、自動運転車など次世代モビリティ開発を行っている。
■パーク24:自動運転などの技術革新の進展に触れる
駐車場大手としてすでに存在感の高いパーク24の西川光一代表取締役社長は、時代の変化に適応していくことが重要だと指摘。「当社グループを取り巻く事業環境は、『所有から利用へ』『自動車のIoT化』『自動車燃料の変化』『自動運転』など、モビリティに関する技術革新が急速に進展することで大きく変化しています」と年頭挨拶で触れている。
■中小企業庁:自動運転化を踏まえ中小企業を支援
中小企業庁の角野然生長官は「世界に目を向けると、カーボンニュートラルに向けたグリーン投資の拡大や、情報の利活用・デジタル化の急激な進展、ドローンや自動運転などの将来技術の拡大など、コロナを一つのきっかけに、成長の実現に向けた大転換が進んでいます」と述べた。この転換期に、事業再構築補助金や生産性革命推進事業で中小企業を支援するという。
■住友電気工業:「持続的成長に向けた千載一遇のチャンス」
住友電気工業の井上治代表取締役社長は、社員に向けた年頭挨拶において「自動車におけるコネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化の頭文字をとったCASE。これらはいずれも、当社事業との関係が深く、将来の持続的な成長に向けた千載一遇のチャンスです」と述べている。
同社は「ITS Connect推進協議会」に参加しており、自動運転の実証実験も行っている。同協議会は企業や業界の垣根を越え、運転支援システムを通じた安心・安全な交通社会を実現すべく取り組んでおり、2021年4月には「ITS Connect路車間通信システム」について、スムーズな自動運転の実現に効果があるという実証成果を報告している。
■新日本電工:「増加する需要を着実に取り込んでいく」
新日本電工の青木泰代表取締役社長は、機能材料事業のビジネス強化に向け「自動車の電動化・自動運転化、通信インフラの5G化などに伴う急速な市場拡大に対し、安定生産と必要な供給力増強を通じて増加する需要を着実に取り込んでまいります」としている。
■損害保険料率算出機構:「変化に対応すべく課題に取り組む」
損害保険料率算出機構の浦川道太郎理事長は、「2021年の私たちを取り巻く環境を振り返りますと、COP26をはじめとして国内外で対策が図られている気候変動・地球温暖化、世界初となる自動運転レベル3の乗用車の国内発売といった技術革新の進展など、目まぐるしい変化が続いております」と述べ、変化に対応すべく課題に取り組むとしている。
■【まとめ】2022年における各社の取り組みに期待
年頭挨拶は言わば「宣戦布告」であり「決意表明」でもある。自動運転を重要なテーマの1つに据えている各社が2022年にどのような動きをみせていくのか、注目して見守っていきたい。
【参考】関連記事としては「2021年の「自動運転」10大ニュース!レベル3の実用化スタート」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)