ヤマハ発動機株式会社(本社:静岡県磐田市/代表取締役社長:日髙祥博)は2020年3月29日までに、農業用ドローンのラインアップに「自動飛行」が可能な「YMR-08AP」を加え、販売を開始すると発表した。
YMR-08APは2019年3月に発売開始した「YMR-08」の改善版で、自動散布(オートパイロット)による作業の効率化・省人化をサポートするモデルとなる。1回のフライトで1ヘクタールの連続散布が可能だという。
農業に特化した専用ソフト「agFMS」(Agriculture flight management system)を搭載し、自動飛行を支える機能を多数搭載している。主な機能例としては次の通りだ。
・高精度な測位が可能となるRTK方式を採用
・専用ソフト「agFMS」による2つの簡単ルート作成(基準局・測量モジュールによる散布ルートの自動生成、飛行軌跡の保存が可能/MAP上での散布ルートの自動生成、飛行軌跡の保存が可能)
・散布ルートによる圃場内飛行(加速/減速域含む)
・枕地散布不要なルート設定
・GPS制御不可時の位置保持機能(ホバリング)
ヤマハ発動機はYMR-08APの投入を通じ、農業のスマート化をサポートしていきたい考えだ。なおメーカー希望小売価格は206万2500円(税込)で、販売台数は1年間で50台の予定だという。
■「ドローン×自動飛行」、貨物輸送や日用品配達でも
日本を含む世界各地で、ドローンと自動飛行を組み合わせた取り組みが加速している。
例えば、大手航空機メーカーのベルヘリコプターは昨年、貨物輸送ドローンの自律飛行試験に成功している。使用した新型ドローン「APT70」の最高時速は約160キロ程度で、30キロの貨物を搭載できるという。
楽天は今年1月、完全自動飛行のドローンで食品や日用品を配送する実証実験を三重県志摩市で実施した。離島に住む住民に注文商品をドローンで届ける取り組みで、実証実験は成功裏に終わった。過去にも同様の実証実験を行っており、その様子は下記のYouTube動画から観ることができる。
このようにドローンを自動飛行させる技術は、貨物輸送や日用品配達、そして農業など、さまざまな業界で開発が進んでいるわけだ。「ドローン×自動飛行」はアイデア次第でまだまだたくさんの活用方法がありそうだ。
【参考】関連記事としては「自律航行ドローン、安全飛行のために検知すべきデータや技術は?(深掘り!自動運転×データ 第20回)」も参照。