慶應義塾大学病院とWHILL株式会社(本社:東京都品川区/代表取締役社長:杉江理)は2020年9月6日までに、自動運転機能が搭載された車椅子型のパーソナルモビリティを病院内で役立てる実証実験を開始することを発表した。
病院内は「私有地」であり公道のように規制がなく、実証しやすい環境であると言える。成果に注目だ。
■患者にも病院スタッフにも貢献する
慶應義塾大学病院は2018年、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)」における「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」事業に採択され、病院のIT化・AI化に取り組んでいる。今回の実証実験はこのAIホスピタルプロジェクトの支援で実施されるという。
今回の実証実験では、歩行に不安があったり足腰に障害があったりするなど、自力で院内の目的地まで行くのが難しい患者に、院内での移動手段として自動運転機能が搭載された車椅子型のパーソナルモビリティを提供する。WHILL社が開発したパーソナルモビリティだ。
搭乗者が操作しなくてもセンサーで周囲の状況を探知・解析しながら自動走行し、出発時に設定した目的地まで安全に移動できる。患者がこのパーソナルモビリティを使えば、歩行時における転倒防止にもつながるほか、病院スタッフの負担軽減も期待できる。
■2012年創業のWHILL、羽田空港でも
WHILLは2012年の創業以来、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」というミッションのもと、主に自動運転パーソナルモビリティを開発している。
2019年2月には三菱電機やLiquidと共同で、自社のパーソナルモビリティと建物の連携を図る実証実験の開始を発表している。それまではワンフロアでの運用しかできなかったが、エレベーターと通信回線することで目的の階にまで移動できるようになった。
2020年6月には羽田空港において自動運転パーソナルモビリティの導入が決まった。人搬送用途で空港で自動運転パーソナルモビリティが実用化されたのは世界初のこととして、注目を集めた。
公道での活躍もいずれ期待されるWHILLの自動運転パーソナルモビリティ。今回の病院での実証実験の成果にも注目が集まる。
【参考】関連記事としては「空港で世界初!羽田に自動運転パーソナルモビリティ WHILLが開発」も参照。