ライドシェア世界最大手の米ウーバー・テクノロジーズは、ライドシェア事業だけではなく、自動運転開発にも力を入れている。専門部署として「アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)」を立ち上げ、商用サービス提供で先行するGoogle(ウェイモ)に追いつきたい考えだ。
同社の自動運転研究に遅れが出ている背景には、2018年3月にウーバーの自動運転車が実証実験中に死亡事故を起こしたことがある。歩行者を死亡させた死亡事故によって各地で進めていた実証実験は一時的に中止され、事故が起きたアリゾナ州などがウーバーに対して厳しい目を向けた。
その後、米運輸安全委員会(NTSB)が2019年5月に発表した事故調査の中間報告書では、事故時、緊急ブレーキが作動する設定にされていなかったことが明らかになり、ウーバーは実証実験に関する運用ルールの見直しなどを迫られることとなった。
ただ最近では、自動運転技術の向上に向けて画像認識スタートアップを買収するなど、改めて自動運転開発に力を入れている様子が報じられていた。
そんな中このほど、ウーバーがこの死亡事故の前に別の交通事故を37件起こしていたことが、NTSBによって明らかにされた。
この37件の中には死亡事故は含まれていないが、NTSBが公表する前にウーバー自身がこうしたことを公にしていなかったことから、アメリカ国内で改めてウーバーに対する不信感が高まる可能性がある。報道によればウーバー本社側は、調査内容を重く受けとめる、という趣旨のコメントをしているという。
報道によれば、死亡事故を起こしたウーバーの自動運転ソフトウェアに欠陥があったことも指摘されており、ウーバーには改めて慎重な取り組みが求められる流れになりそうだ。
【参考】関連記事としては「ウーバーの自動運転車による死亡事故、経緯や原因などの調査結果まとめ」も参照。