光学・電子機器メーカーの京セラ株式会社(本社:京都府京都市/代表取締役社長:谷本秀夫)が、LiDAR(ライダー)と画像センサーを一体化した新型の高精度測距センサーモジュールの本格的な商品化に着手した。すでに自動車メーカーへ採用に向けた提案を始めており、改良を加えながら2022年の供給を目指している。
新型LiDARは、カメラデータを用いたLiDAR走査領域の制御、多次元情報を用いた高精度認識、独自光学設計によるメカレスで高い信頼性と小型化を実現した。カメラの画像データとLiDARの検知結果を組み合わせることで、従来のLiDARでは検出が難しかった大きさの物体も検知できるようだ。5メートル先であれば1センチメートル、100メートル先であれば9センチメートルの大きさの物体を検知可能だという。
測定・識別能力を表す分解能は世界最高レベルの0.05度で、LiDAR生産最大手の米ベロダイン・ライダーに匹敵する性能を誇っている。今後、さらなる小型化やフレームレートの向上などに取り組み、車載用を中心にロボットやセキュリティ分野なども含め提案していくという。
【参考】LiDARに関する記事としては「自動運転の「目」は800万円!?次世代センサーLiDARの最前線を追う|自動運転ラボ
■EVコンセプトカーやAIビューカメラも
なお、新型LiDARは2018年5月に横浜、7月に名古屋でそれぞれ開催された「人とくるまのテクノロジー展2018」に参考出展し、大きな注目を集めた。同展にはこのほか先進デバイスを搭載した電気自動車(EV)コンセプトカーや人工知能(AI)認識機能付ビューカメラ、ミリ波レーダー用基板、ヘッドアップディスプレイ用液晶ディスプレイ、通信モジュールなどの製品も出展しており、先進運転支援システム(ADAS)に貢献する先進デバイスを中心に車載分野に力を入れている姿が見て取れる。
【参考】人とくるまのテクノロジー展2018での出典内容は、京セラの報道機関向け資料「京セラ「人とくるまのテクノロジー展2018名古屋」出展のご案内」も参照。
2018年3月期には電子機器製造の英TTエレクトロニクス社の自動車センサー部門や無線通信用小型アンテナを製造する米イーサトロニクス社を買収しており、自動車関連や通信市場での事業拡大を図っていく構えだ。