一般社団法人「トヨタ・モビリティ基金」は2021年7月20日までに、愛知県豊田市やトヨタとともに「ジコゼロ大作戦」を開始することを発表した。「ジコゼロ」すなわち「事故ゼロ」を目指す取り組みだ。
具体的な取り組みとしては、以下の4つが挙げられ、交通事故の削減に向けて先進技術や車両データを活用する形となる。
- インフラ協調型危険回避システム
- 住民ヒヤリハットデータベース
- ドライブレコーダー情報を活用した高齢者安全運転診断サービス
- 車両プローブデータの活用
今回は豊田市で取り組みが進められるが、この取り組みで得た知見が将来的にトヨタの実証都市「Woven City」で展開されることも考えられ、さまざまな観点で興味深い取り組みと言える。
■豊田市で取り組まれる「ジコゼロ大作戦」の中身は?
豊田市で取り組まれる内容について、もう少し詳しく説明していこう。
「インフラ協調型危険回避システム」は、電柱や住居にカメラやセンサーを設置し、注意喚起を促すシステムを導入することで、事故を未然に防ぐシステムだ。
「ヒヤリハットデータベース」は、交通事故の発生データを活用し、危険箇所を住民・児童に提示することで事故防止に役立てるものとなっている。
「ドライブレコーダー情報を活用した高齢者安全運転診断サービス」は、ドライブレコーダーのデータを利用することで、高齢者の運転技術の安全性をチェックすることが可能になる。
そして「車両プローブデータの活用」では、車両の位置情報を取得できるプローブデータを活用することで、効果的な対策を検討できるようになるとのことだ。
ちなみにプローブデータとは、走行中との自動車との通信によって得られるさまざまなデータのことで、「位置情報」のほか、「速度」などが挙げられる。位置情報のデータはGPS(全地球測位システム)などを介して取得される。
■自動運転技術の実証・導入も進められるWoven City
そして先ほど触れた通り、こうした取り組みはWoven Cityでも導入されることが予想される。
Woven Cityは、トヨタの従業員を始めとした約2,000人が暮らすことを想定して建設が始まっており、最先端技術の導入を前提としている。そのため、ジコゼロに向けたインフラ協調型危険回避システムなどは、特に導入しやすい。
さらに、Woven Cityでは自動運転技術の実証・導入も積極的に進められていく。自動運転技術が導入されれば、手動運転中のヒューマンエラーもしくは違反行為などによる交通事故がなくなり、事故の発生件数はかなり少なくなることが予想される。
豊田市でのジコゼロ大作戦での知見、そして自動運転技術を導入していけば、Woven Cityは日本最速でジコゼロシティーとなり得るかもしれない。
【参考】関連記事として「トヨタのWoven City着工!自動運転やAI技術の「ショーケース」にもなる!?」を参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)