自動運転技術の開発に力を入れる米EV(電気自動車)大手のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)はこのほど、約1カ月後に「AI(人工知能)デー」を開催する予定だとTwitterで投稿した。
AIデーでは、テスラのAIソフトウェアとハードウェアの進捗状況やトレーニングなどについて説明するようで、目的は優秀な人材の採用のようだ。
■マスク氏はAIデーではどんな発言をする?
このAIデーでマスクCEOが何を発言するか、注目が集まることは確実だ。特に自動運転ラボとしては、自動運転に関する発言に注目したい。
テスラは2021年に入り、同社の完全自動運転ソフトウェア「FSD」が現時点では自動運転の能力がないことを米カリフォルニア州の車両管理局(DMV)に説明している。分かっていたことではあるが、FSDは「Full self-driving」の略語であるだけに、一定程度波紋を広げた。
またマスクCEOは、2021年1月に「人が行う運転よりも信頼できる自動運転車が今年中に実現する」とも述べている。しかし同年5月にはカリフォルニア州の道路管理局(DMV)に対し、2021年末までに完全な自動運転技術を開発できない可能性があると伝えたようだ。
ではマスクCEOはこうした点について、AIデーで謝罪的な発言をするのか。恐らくしないだろう。
常に前向きで未来志向のマスクCEOがAIデーで「FSDはまだ自動運転ではない」といった発言をすることは考えられない。AIデーではテスラの将来をより見据えた発言をするのではないだろうか。
■謝罪の言葉を期待する人は恐らく少数派
マスクCEOは過去には、テスラの車両を利用した自動運転タクシー事業を2020年半ばに展開するとも語っている。この宣言は実現されていないものの、テスラが前のめりに自動運転関連技術の開発や事業に取り組んでいることは明らかだ。
マスクCEOは大風呂敷を広げる発言をしがちで、良い意味でも悪い意味でも目立っているテスラだが、そんなテスラのファンは多い。AIデーではマスクCEOの謝罪の言葉を期待する人より、マスクCEOが語る将来像を楽しみにしている人の方が多いはずだ。
【参考】関連記事としては「テスラ「FSDは自動運転の能力ない」 カリフォルニア州当局に説明」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)