警察庁が2020年9月に「自動運転の公道実証実験に係る道路使用許可基準」の最新版を公表し、遠隔型自動運転システムなどについて満たすべき個別事項を整理して説明している。
その内容については自動運転ラボの記事「自動運転と法律・ガイドライン、日本の現状まとめ」でも紹介しているが、今回は警察庁がこれに合わせて公表している「遠隔型自動運転システムの公道実証実験の流れ」について説明したい。
▼遠隔型自動運転システムの公道実証実験の流れの例
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/selfdriving/roadtesting/flowchart_enkaku.pdf
■警察庁が公表している流れの例
以下が警察庁が公表している流れの例だ。
公道実証実験の実施に向けては、まず、実施計画の作成などを含めた道路使用許可申請の準備が第一歩となる。この準備の際には、事前に都道府県警察本部の交通部担当課などに相談し、助言を受ける必要がある。
助言を受けた上で申請書類を作成した後は、実験場所を管轄する警察署に許可申請を行い、申請内容が検討された上で道路使用許可の可否が言い渡される形となる。
その後は実験の実施主体側が「公道審査」を受けるための準備を進め、準備が整ったら警察官などによる公道審査が行われ、実験区間における自律走行の安全性や緊急時の安全な介入操作などについてチェックが入る。
この公道審査に合格したら、晴れて実証実験が実施できるようになる。
■道路使用許可を受ける必要がないケースも
ちなみに、「遠隔型自動運転システム」の実証実験の場合は必ず道路使用許可が必要だが、一定の条件を満たせば、場所や時間に関わらず、道路使用許可を受けずに自動運転の実証実験を行うことも可能となっている。その条件は以下の通りだ。
- 公道実証実験に用いる車両が道路運送車両の保安基準の規定に適合していること
- 運転者となる者が、公道実証実験に用いる車両の運転者席に乗車して、常に周囲の道路交通状況や車両の状態を監視(モニター)し、緊急時等には、安全を確保するために必要な操作を行うこと
- 道路交通法をはじめとする関係法令を遵守して走行すること
これ以上の詳しい内容は、警察庁の公式ページ「自動運転の公道実証実験について」を参考にしてほしい。細かいルールが規定されているが、自動運転システムを開発している企業にとっては必読の内容となっている。
【参考】関連記事としては「車両基準の緩和など提案!BOLDLY、自動運転実証実験で国に」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)