日本電気株式会社(本社:東京都港区/代表取締役執行役員社長:新野隆)=NEC=は2021年1月20日までに、「学習型メディア送信制御技術」を開発したことを発表した。車載カメラの映像において注目領域だけの画質を高くすることで、送信データ量を削減できる技術だという。
■AIに注目領域と最適画質を学習させて実現
この技術は、AI(人工知能)をカメラ映像の送信器に組み込み、センサー側の物体検出や距離推定などの映像認識に必要な注目領域と最適画質を学習させ、映像の送信制御を行うことで、伝送するデータ量の大幅な削減を実現するものだ。
モビリティ市場では自動運転の実用化に向けた取り組みに伴い、そのサポートのために管制センターから実際の走行映像を確認するといったニーズが高まっている。そしてその際には、複数のカメラによる高画質な映像を遅延無く確実に伝送することが求められる。
しかしこれまでは、データ量が大きい高画質の映像をリアルタイムに伝送することには課題があった。そこで活躍するのが今回開発した学習型メディア送信制御技術だ。
危険の検知や物体検出、距離推定、レーン検出などに必要な注目領域の精度は維持したまま、送信データ量を大幅に削減できるようになるという。
■「車外・車室内状況見守りソリューション」に採用
NECはこの技術を、遠隔監視センターから運行状況を把握する「車外・車室内状況見守りソリューション」に採用し、2021年度中に商用化する予定だという。
なおこのソリューションは、自動運転実現を視野に遠隔管制や緊急の際の遠隔操縦を支援するために開発されたものだ。
今回開発した学習型メディア送信制御技術は、総務省が実施する「ローカル5G開発実証事業」における自動運転バスの公道実証において活用されるという。
自動運転が社会実装されるためには、緊急時などにおける遠隔制御のための技術の向上は必須だ。NECが開発した学習型メディア送信制御技術は、こうした点に資するものと言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転領域で「自前の実証施設」ブーム到来!NECも新検証センター」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)