日本で2020年4月1日に自動運転が解禁されることになった。条件付きで自動運転を認める「レベル3」を実用化するための「改正道路交通法」と「改正道路運送車両法」の施行日が4月1日に決まり、いよいよ日本でも自動運転時代の幕があける。
改正道路運送車両法では、新たに自動運転を実現するシステムを「自動運行装置」と定義し、自動運転においては事故発生時の車両の状態を記録する「EDR」(イベントデータレコーダー)などの設置を必須とする。
改正道路交通法は、自動運転システムが稼働中は携帯電話やカーナビの操作などを認めるもの。ただ、運転手はただちに手動運転に移れる状態を維持する必要がある。そのほか運転手には、自動運転システムの作動状態に関する情報を保存することも求められる。
道路交通法と道路運送車両法の改正案は去年の国会で可決・成立し、施行期日は公布日から1年以内とされていた。改正道路運送車両法の施行日を4月1日と明記した政令は1月28日に内閣で閣議決定され、1月31日付の官報で既にその内容が掲載されている。
【参考】関連記事としては「自動運転、幕開け期の2020年代に向けた法律改正の動きを解説」も参照。
■ホンダが日本でレベル3搭載車を初発売へ
自動運転レベルは0〜5の6段階に分類される。自動運転レベル3は、自動運転システムを限定領域で稼働させることができるが、緊急時やODD(運行設計領域)からはずれる場合はシステムからの要請に応じて人間が手動運転を行う必要がある段階を指す。まず高速道路などでの自動運転が第一歩とされる。
自動運転レベル3については、詳しくは自動運転ラボの「【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ」でも解説しているので参照してほしい。既にレベル3は実用化を見据えた開発を各社が進めており、日本における解禁時期が大いに注目を集めていた。
日本ではホンダが今年夏ごろに、自動運転レベル3のシステムを搭載した車両を初めて発売する計画を立てている。報道などによると、まずは自動運転システムを「高速道路における渋滞時」に限って稼働させう機能を実装させる見込みで、実際に発売されれば国産メーカーとしては初のレベル3車両となる。
ただ自動運転レベル3には一定の懸念もある。それは、自動運転システムの稼働中も常に人間が緊張状態を保っておかなければいけないということだ。これは「レベル3の罠」とも呼ばれ、人間側のミスによって手動運転への引き継ぎがスムーズが行われない場合も想定する必要が出てくる。
■自動運転、技術開発やサービス開発が一層活発化へ
自動運転レベル3の解禁は完全自動運転の実現に向けた大きな一歩だ。今回の解禁をきっかけに日本における自動運転関連の動きや資金調達の動きはより活発化し、将来の完全無人化を見据えたさまざまなサービスの開発も加速していきそうだ。
【参考】関連記事としては「緊張保つ難しさ、どう解決?ホンダ、自動運転レベル3搭載車を来夏発売か」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)