自動運転というと、自動車業界や物流業界だけの話のように聞こえるが、実はさまざまな業界で応用の可能性がある技術だ。
例えば現在人手不足と言われる介護業界では、人間にとって負担となる仕事を自動運転ロボットが肩代わりできる範囲はかなり広い。今回は介護業界における自動運転技術の活用アイデアを紹介していこう。
■1人乗りロボットが高齢者の移動を支援
介護施設ではクルマ椅子をスタッフが押すシーンがあるが、1人乗り自動運転ロボットが導入されれば、省人化につながる。国内ではベンチャーのZMPやWHILLがこうしたロボットを開発している。
特にZMPの1人乗りロボット「RakuRo(ラクロ)」はシニアカーなどとしての活用が想定されており、事前に登録した目的地をタブレットで選択して出発すると自動走行し、高齢者の移動を支える。屋内でも屋外でも使用が可能だ。
■自動追従運搬ロボットが腰が痛くなる作業を減らす
介護現場でリネンや食事などを運搬してくれるロボットの存在も心強い。
自律走行の運搬ロボットとしては、ロボットベンチャーDoogの追従運搬ロボット「THOUZER(サウザー)」などが挙げられ、物流業界での活躍が想定されたロボットだが、介護業界での活用も将来的には期待されそうだ。
介護業務では腰を痛くするような業務も多いが、自律走行ロボットはこうした業務の負担を軽減してくれるはずだ。
■介護用ロボット「SOWAN」はすでに実用化され活躍中
「介護ロボット」という名称で実用化され、すでに介護施設で導入されているのが、シティモビリティの開発などを手掛けるテムザック社の「SOWAN(ソワン)」だ。
自動巡回で見守りを行うほか、施設利用者が付けているウェアラブルデバイスからバイタルサインを感知して、緊急時には駆けつけてその映像を録画することもできる。
新型コロナウイルス感染拡大にともない、無人で除菌剤噴霧をする機能もオプションで付けられるようになった。月額6万6000円(税抜)と手ごろな価格で導入ができるとあって、介護施設での導入が進んでいる。
■【まとめ】そろそろ導入を本気で検討すべきときに
SOWANのように、自動運転技術を使ったロボットはすでに介護業界で活躍しつつある。介護業界で人手不足が続く中、各社はそろそろ導入を本気で検討すべきときに来ている。
また、省人化が進んだおかげで人が介護サービスの「質」の向上に集中できるようになれば、介護業界において他社との差別化にもつながりそうだ。
【参考】関連記事としては「”時給88円”の介護ロボットを開発!自動運転の目「LiDAR」搭載」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)