日本初!RFIDリーダー搭載の自律走行物流ロボを発表 GROUNDとダイオーエンジニアリング

PEER SpeeMa+、EC事業者への導入も目指す

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出典:GROUNDプレスリリース

物流技術スタートアップのGROUNDと大王製紙グループのダイオーエンジニアリングは2021年3月7日までに、共同開発した日本初のRFIDリーダー搭載の自立型協業ロボット「PEER SpeeMa+(ピアスピーマプラス)」の提供を開始した。こうしたロボットは日本初だという。

同ロボットは「AMR」と呼ばれる自立移動タイプの物流ロボットで、GROUNDの自律型協働ロボット「PEER」と、ダイオーエンジニアリングのRFIDソリューション「SpeeMa」を組み合わせたものだ。ピッキング作業において作業者を支援し、作業効率の向上に貢献するという。

■PEER SpeeMa+に搭載された「RFID」とは?

GROUND社は2015年4月に設立された企業だ。PEERは中国の大手ロボット企業と共同開発して2019年末から提供が開始されており、マップ作製と位置推定を同時に行うSLAM技術とカメラ・レーザーを連携させるなどし、自律走行を可能にしている。

このPEERとダイオーエンジニアリングのRFIDリーダーが組み合わせられ、今回のPEER SpeeMa+の提供が開始されたわけだが、RFIDとはどういった技術だろうか。

RFIDとは日本語では「無線自動識別」

RFIDは「Radio Frequency Identification」の略で、日本語では「無線自動識別」などと訳される。具体的には、ID情報を埋め込んだRFタグと無線で情報をやり取りすることができる技術で、非接触でデータの読み込みや書き込みができることが特徴だ。

バーコードに代わるシステムとして、さまざまな業界で導入が急速に進んでいる。Suicaなどの交通系ICカードや車のスマートキーなどでも技術が活用されている。

RFIDでピッキングの人的ミスを無くす

では具体的には今回提供を開始するPEER SpeeMa+は、倉庫内のピッキング作業でどのように作業者を支援するのか。

報道発表によれば、PEER SpeeMa+は管理システムからピッキングの指示を受けたあと、自律的に商品の場所まで最短ルートで移動する。その後、作業者が商品の場所に到着したPEER SpeeMa+に商品を載せると、PEER SpeeMa+はRFIDで指示通りの商品がピッキングされたことを確認する。

こうした作業が繰り返され、全てのピッキングが終えたあと、PEER SpeeMa+は自律走行で梱包エリアまで商品を搬送する。つまり、作業者によるピッキングの人的ミスが無くなる上、梱包エリアまでの搬送の負担も減るというわけだ。

ちなみにPEER SpeeMa+は、シップヘルスケアグループの小西医療器への導入が決まっており、2021年3月末から同社の物流センターで本格稼働が始まる予定だ。ピッキング作業を伴う倉庫を有しているEC事業者への導入も目指すという。

■物流ロボの国内市場規模、2030年には1500億円強に

調査会社の矢野経済研究所が2020年9月に発表した市場調査によれば、2019年度の物流ロボットの国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比155.3%の131億円4,000万円だった。

日本国内で労働力不足が深刻化する中、2014年ごろから物流ロボットに注目が集まり始め、AMRなどの物流ロボット市場は今後も拡大していく見込みで、2025年度は583億円、2030年度には1,509億円規模まで大きくなるという。

このような市場拡大が見込まれる中、GROUNDとダイオーエンジニアリングが共同開発したPEER SpeeMa+の導入も、好調に進んでいきそうだ。

【参考】関連記事としては「ずらり2ケタ成長!自動運転関連市場の成長率が驚異的」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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