民間調査会社の矢野経済研究所(本社:東京都中野区/代表取締役社長:水越孝)はADAS(先進運転支援システム)用や自動運転用のセンサーの世界市場調査を実施し、市場概況や技術動向、自動車部品メーカーの搭載動向などを2020年11月11日までに発表した。
車両のフロント・サイド・リアに搭載されたレーダーやカメラ、超音波センサー、LiDARなどを調査対象としており、2025年のADAS/自動運転用センサーの世界市場規模は、メーカ出荷金額ベースで2019年の市場規模の2倍近くとなる2兆4,808億円まで拡大する見込みだという。
市場拡大の要因は、自動運転レベル2以上の車両の販売が今後増えていくことにある。高速道路限定のハンズオフ(手放し)機能の採用が高級車両を中心に既に始まっており、2023年にかけて主要自動車メーカーでの市場投入が活発化することが見込まれている。
■高機能・高性能化が進むカメラ、引き続き最も大きい市場に
ちなみに以下がセンサー別の市場規模予測を示した図だ。LiDARの市場が新たに今後形成されていくことも特筆すべき点だが、2019年と同様に2025年も「カメラ」の市場規模が4つのセンサーの中で最も大きい結果となっていることにも注目したい。
矢野経済研究所は「車両のフロントに搭載されて、前方を認識するセンシングカメラの高機能・高性能化が次のステージに入っている」と分析しており、今後ますます車両への搭載が加速していくと予想している。
矢野経済研究所は高機能化・高性能化のポイントとしては、「3眼カメラ」と「CIS(CMOSイメージセンサー)の高画素化」の2点を挙げており、レポートではカメラの世界市場規模は2019年の約8,086億円に対し、2025年には約1.8倍の約1兆4,741億円まで拡大すると予想している。
またLiDARについては2019年は市場がまだ形成されていないものの、2020年には5億8,000万円、2023年には17億2,000万円、2025年には84億6,000万円へと市場が急拡大していくという。伸び率はカメラやレーダーの伸び率をはるかに凌ぐ数字となっている。
■どのセンサーの市場規模が大きくなっていくかは、不確定要素も
自動運転レベルが上がるにつれ、人間の目の代わりによりセンサーが活用されるようになる。そう考えれば、センサーの市場規模が拡大することはごく自然なことと考えられる。
ただどのセンサーの市場規模が大きくなっていくかは、不確定要素も多い。最近ではLiDARを使わずにカメラだけで自動運転を可能にする技術も開発され始めており、進化の方向性によっては各センサーの市場規模に大きな影響を及ぼすからだ。
そのため、各社の最新の開発動向をとらえていくことが、市場規模の将来予測をする上では重要になる。
【参考】関連記事としては「自動運転システム市場、2030年には451倍に成長 2.2兆円規模に 富士キメラ総研が予想」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)