自動運転タクシーが米国内で急速に普及しているにもかかわらず、米国民の自動運転への信頼は2018年からほぼ変わっていない。それどころか、「人間が運転する車の方が安全」と考える人の割合は2018年の47%から58%(約6割)へと増加した。「乗りたくない」という意識が、むしろ強まっているのだ。
自動運転ロボタクシー市場が急拡大している現実とのギャップは大きい。世論という「見えない壁」が、自動運転普及の最大の障害になりつつある。
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■米国では自動運転車に「乗りたくない」が約6割に
自動運転車に「乗りたくない」というアメリカ人は約6割。Gallupの最新調査でそんな結果が示された。ロボタクシーが各地で走り始めているにもかかわらず、米国民の自動運転への不信感は2018年からほぼ変わっていない。むしろ「人間が運転する車の方が安全」と考える人の割合は2018年の47%から58%へと増加しており、技術の進歩とは裏腹に、心理的な距離はむしろ広がっている。
調査は2025年10月1〜16日、全米50州の18歳以上1,000人を対象に電話インタビューで実施されたもの(誤差±4ポイント)。「今後20年以内に自動運転車を所有またはリースしたい」と答えたアメリカ人は19%にとどまり、2018年の数字から変わっていない。また「自分で運転する車を所有したい」は73%で、こちらも2018年の75%とほぼ横ばいだ。
さらに注目すべきは「道路の安全性」に関する数字の変化だ。「無人車中心の道路が最も安全」と考える人は2018年の28%から2026年には19%へと9ポイント減少した。「人間が運転する車の方が安全(または大部分は人間が運転する方が安全)」と答えた人は58%で、2018年の47%から11ポイント増加している。
「技術が進んでいるのに信頼が下がる」という逆説は、ロボタクシー普及を考える上で最も重要な問いかけの一つ。この調査は、自動運転産業が「技術の証明」の次のステージ、つまり「社会への信頼の醸成」に踏み込む時期が来ていることを示している。
■「来るのはわかっている、でも自分は乗りたくない」という矛盾
この調査で最も興味深い発見は、普及への期待は高まる一方で、自分が乗りたいという意欲は伸び悩んでいるという矛盾だ。
「5年以内に自動運転車が社会的に普及する」と予測したアメリカ人は31%で、2018年の19%から大幅に増加した。「6〜10年以内に普及」が34%で、合わせると約65%が「10年以内にロボタクシーは当たり前になる」と見ている。しかし「自分が所有したい」はその19%のままだ。
「来るのはわかっている。でも自分は乗りたくない」。Gizmodoはこの心理を、自動運転は自分以外のための話だというニュアンスの見出しで表現した。これはある意味、非常に正確な描写といえる。
アリゾナ州立大学のJameson Wetmore准教授はこう語った。「この統計は驚かない。来年アメリカの全ての車を置き換えることが目標ではない。ゆっくりと移行させることが目標で、現時点ではそれに向けて良い位置にいる」。また「フェニックスでは毎日十数台の無人車を見る。おそらく私が見る車の5%くらいが無人車だ。アメリカの多くの都市がフェニックスに近い状態になるのに10年もかからないだろう」とも述べた。
「誰が自動運転を受け入れているか」の内訳
サブグループ別に見ると、受容度のばらつきが見えてくる。50歳未満でも「所有したい」は5人に1人程度にとどまる。一方、有色人種は24%が「所有したい」と答え、白人の16%より高い。大学卒業者も24%で非大学卒の16%を上回る。女性と高齢者ほど「人間が運転する方が安全」と答える傾向が強く、女性42%・65歳以上42%に対して男性29%・18〜29歳28%という差がある。
【参考】関連記事としては「自動運転、アメリカ(米国)の最新動向|開発企業は?」も参照。
■イリノイ州では3分の2が「走行反対」
全国調査より数字が厳しいのが地域調査だ。イリノイ州でチームスターズ(全米トラック組合)が委託してImpact Research社が2026年1月に実施した調査では、イリノイ州民の約3分の2が「完全無人車の公道走行に反対」と回答した。さらに78%がロボットトラックに反対している。
この調査を委託したのが労働組合という点は差し引いて考える必要があるが、数字の方向性は他の独立調査と一致しており、自動運転ロボタクシーへの地域の反発が強い現実を映している。調査では多数の有権者が「公共の安全と人命リスク」を最大の懸念として挙げており、「雇用問題だけではなく安全への懸念も根強い」ことを示している。
チームスターズの反発の背景には、Waymo(ウェイモ)に対する具体的な不満の積み重ねもある。スクールバスの追い越し違反、サンフランシスコの大停電後の交通混雑、サンタモニカでの子どもへの接触事故、オースティンでの銃撃事件現場への救急車進路妨害。「安全です」というデータと「また問題が起きた」というニュースの間で、世論の懐疑論は強まっている。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転タクシー、NYから追放か」も参照
■Waymoのデータと世論の「180度のズレ」
Waymoは2026年3月、1億7,000万マイル以上のデータ分析から「人間ドライバーと比較して負傷事故を82%削減、歩行者との負傷事故を92%削減」という安全実績を発表した。数字だけを見れば、自動運転タクシーは人間より圧倒的に安全だ。
しかし「無人車中心の道路が最も安全」と考える人は全体の19%にとどまる。2025年に米国の交通事故死者は36,000人を超えているが、毎日約100人が人間の運転する車で亡くなっているという事実はほとんどニュースにならない。一方、自動運転タクシーが事故を起こすたびに大きく報じられる。この「報道バイアス」が世論を歪める大きな要因の一つだ。
「コンピューターが安全でないと言っているわけではない」とWetmore准教授は言う。「自動運転技術は進歩している。しかし人間は自分がハンドルを握っている方が安全だと感じる心理を持っている。たとえ統計上は危険でも、制御しているという感覚が安心を生む」。データと感情。どちらが世論を動かすかは、残念ながら後者だ。
【参考】関連記事としては「Googleのロボタクシー「労組が全力阻止」米国各地でデモ活発化」も参照。
■技術進歩に追いつかない人間の心理
Gallupの調査が示す数字は二つの現実を突きつけている。自動運転車に「乗りたくない」は約6割。「自分が所有・リースしたい」はわずか19%。ロボタクシーが各地で走り始めているにもかかわらず、世論という「心の壁」はむしろ厚みを増している。
その壁の越え方は、おそらく「データを示すこと」ではない。「実際に乗ってもらうこと」だ。フェニックスやサンフランシスコでWaymoに慣れた人たちが次の利用者を引き込む口コミの連鎖。日本でも、実証実験に乗った人が周囲に話すという体験の共有こそが、世論を動かす最も確実な道かもしれない。
技術は急いでいる。世論はゆっくり動く。その時間差をどう埋めるかが、自動運転産業の次の課題だ。「6割が乗りたくない」という現実を直視しながら、Gallupの数字が示す壁を越える日を、自動運転ラボも期待を持って見ていきたい。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)