米EV(電気自動車)大手テスラが念願の自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを開始してから2カ月が経過した。テスラのロボタクシー参入は大きな話題になったが、現在どのくらいの規模でサービスを展開しているのだろうか。
実際のところ、世界で初めてロボタクシーサービスを商用化したGoogle系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)と比較した場合、テスラは車両数も自動運転の技術レベルもWaymoに到底及ばない。Waymoが現在2,000台以上の自動運転車を運用しているのに対して、テスラは30台ほどにとどまる。
テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏は「全米でロボタクシーサービスを行う」と宣言しているが、この進み具合では実現するのはまだまだ先になるかもしれない。
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■テスラ30台に対しWaymoは2,000台
テキサス州オースティンでロボタクシーを運行しているテスラは、2025年8月末にサービス提供エリアを91平方マイル(約236平方キロ)から173平方マイル(約448平方キロ)に拡大した。また車両数を50%増やしたことも発表した。元々の運用車両数は公表していなかったが、10〜20台でスタートすると言われていたため、増加後は最大でも30台程度になると思われる。
それに対し、Waymoではロボタクシーの運用車両は合計2,000台以上あり、665平方マイル(約1,722平方キロ)をカバーしている。保有車両数はテスラの67倍、展開エリアは3.8倍だ。それに加え、テスラはセーフティドライバー同乗のもとで自動運転走行を行っているが、Waymoは完全ドライバーレスでの運行だ。サービス規模のほか技術面でもテスラはWaymoに相当遅れを取っていることになる。
なおテスラの展開エリアであるオースティンでは、Waymoは100台以上のロボタクシーを走らせている。ただしカバーエリアはテスラの約半分にとどまる。
■現在Waymoが圧倒的優位に立つ
テスラとWaymoの保有台数とカバーエリアの広さを詳しく見ると、下記のようになっている。
【テスラ】
オースティン(173平方マイル):30台
【Waymo】
オースティン(90平方マイル):100台以上
サンフランシスコ(80平方マイル):約800台
ロサンゼルス(120平方マイル):約500台
フェニックス(315平方マイル):約400台
アトランタ(60平方マイル):数十台との報道
テスラは2025年7月に、カリフォルニア州のベイエリアでもロボタクシーサービスをスタートした。そしてWaymoは米国で最も自動運転走行が難しいとされるニューヨークへの参入計画を発表済みだ。現在はWaymoがはるか先を行っているように見えるロボタクシー事業だが、テスラに勝算はあるのだろうか。
■Amazon系Zooxも参入
テスラがWaymoに勝っている部分があるとしたら、コスト面だ。テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、2025年4月に米メディアのインタビューで「テスラのロボタクシーサービスは、特に価格設定、ジオフェンシング(地理的制限)、規制面での柔軟性において、Waymoの提供とどのように比較されると予想しているか」との質問を受けた。
それに対しマスク氏は、ロボタクシー1台あたりの投資額についてテスラが圧倒的に優位であると回答した。「Waymoの車の問題は、はるかに多くのお金がかかることだ」と答えている。その理由として「Waymoの車は非常に高価で生産台数も少ない。テスラ車は、おそらくWaymo車のコストの20〜25%程度で済み、しかも大量生産されている」と述べた。
現在は規模でも技術でもWaymoに劣っているテスラだが、低コストを武器に大規模展開をもくろんでいるのかもしれない。米国ではAmazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)が米国初となる専用設計のロボタクシー向け量産工場を開設しており、数社でロボタクシーの顧客を奪い合う状況になっていきそうだ。
有力企業による今後の開発・展開競争に注目だ。
【参考】関連記事としては「テスラのは「ロボタクシーじゃない」!元Google幹部が批判」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)