Googleのロボタクシー運賃、「無人」なのに31%割高 Uberと比較

体験価値や車内治安に期待感

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米国ではGoogle系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)が2018年から自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを商用化しており、ドライバーレスの自動運転車両が走行する姿は、すでに市民にとって見慣れた光景となっている。

しかし人間の運転するUberなどのライドシェアと比較した場合、Waymoの乗車運賃は30%以上高くなるという調査結果が発表された。無人なのに運賃が割高なのは「本末転倒」な状況と言えるが、それでもWaymoを利用する人、利用を希望する人は増えている状況となっている。

自動運転ビジネスの専門家である下山哲平は「いずれは車両の製造コストが下がり、車内広告の展開で収益も得られるため、運賃は下がっていく」と指摘。その上で「現在は運賃が割高でも、乗客は自動運転車を試せるという『コト体験』に価値を感じ、割高な運賃が実質的に容認されている」と分析する。

さらには、無人ならではの「車内の治安」への期待値についても言及。「運転そのものの安全性にはまだまだ不安を持つ人もいるが、一方で車内治安という面では、人間の運転手がいないことで、トラブルに巻き込まれないことへの期待値もある」とし、「その期待値も値段の許容幅を生んでいる」と説明した。

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■Lyftより41.5%割高、Uberより31.1%割高

複数のライドシェアサービスのリアルタイムの料金やピックアップ時間を比較できるアプリ「Obi」は、「First in-depth examination of Waymo’s pricing strategy(Waymoの価格戦略に関する初の詳細な調査)」というレポートを作成した。以下のリンクから閲覧できる。

▼First in-depth examination of Waymo’s pricing strategy
https://www.documentcloud.org/documents/25973106-obi-waymo-61125/

このレポートは、2025年3月25日から4月25日までの1カ月間、カリフォルニア州サンフランシスコで収集されたデータに基づいて作成されたものだ。比較対象は、Waymoのロボタクシーサービス、LyftとUberのライドシェアサービスの3つだ。約9万件のオファー記録を取得し、各社の価格と到着予想時間を比較した。そして同様の時間帯・ルートでのリクエストをもとに、各社の料金を比べた。

その結果、平均料金はLyftが14.44ドル、Uberが15.58ドルに対し、Waymoは20.43ドルということが分かった。WaymoはLyftより41.5%、Uberより31.1%も乗車料金が高額になっているということだ。またピーク時には、Waymoの平均料金はLyftより約11ドル、Uberより約9.5ドルも高いことも判明している。

出典:First in-depth examination of Waymo’s pricing strategy

1.4キロ未満の短距離利用ではWaymoはさらに割高になり、1キロあたり約26ドルになる。これはLyftより41.48%、Uberより31.12%高い計算だ。ただし距離が増えるにつれ、この差は小さくなっていく。4.3〜9.3キロの距離の乗車では、1キロあたりLyftが2.6ドル、Uberが2.9ドル、Waymoが3.5ドルとなるようだ。

出典:First in-depth examination of Waymo’s pricing strategy

■目新しさや好奇心から・・・

Waymoは人間が運転するライドシェアより30〜40%ほど高額で、価格の変動幅も大きい。ObiのCRO(最高収益責任者)であるAshwini Anburajan氏はその理由として、UberやLyftが10年以上にわたり料金設定の仕組みを改良してきたのに対し、Waymoの料金モデルがまだ洗練されていないことを挙げている。またWaymoの待ち時間は他社よりもばらつきが大きいという。

ネガティブな要因が重なっているにもかかわらず、Waymoのユーザーは増加の一途をたどっている。Waymoによると、現在週に25万件もの有料乗車を提供しているようだ。

Anburajan氏は「正直、消費者が最大で10ドルも余分に払うとは思っていなかった。Waymoの人気は最新技術への興奮や目新しさ、そして時には運転手がいない車に乗りたいという好みを反映しているのだろう」とコメントしている。

■追加料金を容認する人も多い

Obiはまた、Waymoが支持される傾向にある背景について、カリフォルニア州ロサンゼルス・サンフランシスコ、アリゾナ州フェニックスの利用者を対象にアンケート調査も行っている。その結果、Waymoを利用したことのある人の70%が従来のライドシェアやタクシーよりも自動運転車を好むと回答した。

ただし自動運転車の安全性についてはまだ信頼を得ていないようだ。74%が「ロボタクシーに対する最大の懸念は安全性」と回答し、さらに約70%が「遠隔から人間が監視する仕組みが必要」と考えている。遠隔監視についてはすでに行われているが、さらなる周知が必要かもしれない。

また「Waymoにもっと料金を支払ってもいいと思うか?」という質問については、約40%が「同じかそれ以下しか払いたくない」と回答した。「1回の乗車で5ドル未満なら追加で払ってもよい」は16.3%、「最大5ドルまでなら追加料金を払う」は10.1%、「最大10ドルまでなら追加料金を払ってもいい」は16.3%であった。

出典:First in-depth examination of Waymo’s pricing strategy

■共存の未来が濃厚なのか?

今回の調査を行ったObiは、一般的に自動運転車は「ドライバーの仕事を奪う存在」というイメージがある。しかし実際は自動運転車の運用コストはかなり高く、少なくとも近い将来に人間のドライバーの代替になることはなさそうだと予想している。

米国では、ロボタクシーや自動運転トラックはドライバーの仕事を奪うとして、導入反対のデモなどが行われている。ただし当分はロボタクシーはじわじわとシェアを伸ばしていくものの、ライドシェアと共存していくような形で進化していくのだろうか。

【参考】関連記事としては「Uberでの配車、20%が自動運転車に 米オースティン」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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