テスラの「2016年の約束」が発端で、巨大リコールか 「自動運転」と記載

コンピュータの交換などが必要に…

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米EV(電気自動車)大手テスラは、完全自動運転実現のため約400万台もの車両をリコールすることになるかもしれない。

2016年、テスラは今後生産される全ての車両が「完全な自動運転機能に必要な全てのハードウェア」を搭載していると宣言した。

しかし、それから9年が経った現在、自動運転機能はいまだ実装していない。そしてこの約10年間でテスラが販売してきた大半の車両において、自動運転が実現する見込みがないようだ。

つまり、販売済みの車両については自動運転用コンピューターの交換もしくは補償を行う必要があると、米メディアが指摘している。

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■2016年の約束が発端

テスラの主張と対応について、時系列で見てみよう。

2016年に「今後生産される全ての車両には、完全自動運転機能に必要な全てのハードウェアが搭載されている」と断言した。そして同社CEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏は、テスラ車は将来的にソフトウェアアップデートによってレベル4〜5の自動運転が可能になるといった内容を繰り返し主張してきた。また、それにより無人運転が可能なロボタクシーになるとも宣言している。

この時点では、テスラは車両にカメラや前方レーダー、超音波センサー、自動運転用コンピューター「HW2.5」を搭載して生産を行っていた。その後、HW2.5では自動運転機能を実現するには性能が不十分であることを認め、「HW3」を搭載した車両の製造を開始した。

テスラは、同社のADAS(先進運転支援システム)である「FSD(Full Self-Driving)」を購入したオーナーに対して、既存のHW2.5搭載車をHW3バージョンに無料で改修する作業を始めた。

なおマスク氏は2019年に「テスラの車両は、将来的な自動運転機能により価値が上がる資産だ」とも語っている。これを見込んでテスラ車を購入したオーナーも多かったようだ。

■自動運転コンピューターの改修を表明

テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Ennoti (Public Domain Mark 1.0)

2022年に裁判所はテスラに対し、顧客の自動運転コンピューターを無料でアップグレードし、追加費用なしでFSDプログラムに加入できるようにするよう命じている。

そして2023年から2024年にかけ、テスラはより高性能な「HW4」を新車に導入し始めた。しかしHW2.5からHW3に移行した時とは違い、「HW3の車両にもロボタクシーの自動運転機能を提供できる」と主張したという。

マスク氏は「まずはHW3においてFSDを非常に高いレベルで機能させ、海外でも提供する必要がある。そのためHW4でのFSDの性能は、少なくともHW3よりも6カ月は遅れるだろう」と述べ、FSDは最初にHW3上で性能が向上すると主張していた。

しかし2024年に入り、HW3の機能が限界に達しつつあり、しかもその機能はかつて宣言していたドライバーレスのロボタクシーが可能になるレベルの自動運転には到底及ばないということが各メディアで報じられるようになった。

2025年1月、ついにマスク氏はHW3ではドライバーレスの自動運転機能を実現するには性能が不十分であることを認めた。マスク氏は、FSDのパッケージを購入したHW3搭載車両全てに対してコンピューターの改修を行うことを表明した。そしてこのようにコメントしている。

「FSDを購入した人たちのためにハードウェア3のコンピューターをアップグレードしなければならない。それが正直な答えで、これは痛みを伴い困難ではあるが、やり遂げる。今は、それほど多くの人がFSDパッケージを購入していなかったことに少し安心している」

HW3コンピューターを搭載したテスラ車は、世界に約400万台存在するという。これを補償するには、テスラは数十万ドルという多額の負債を抱えることになる可能性も指摘されている。

■コンピューターを交換したとしても…

実際のところテスラが補償としたとしても、10年近く前に発売開始され使い続けられている車両にコンピューター改修を施し、レベル4または5の自動運転機能を実現することは現実的ではないと思われる。

「2016年以降に生産された全ての車両には完全自動運転機能に必要なハードウェアが搭載されている」というテスラの過去の宣言は、今となっては完全な虚偽広告・誇大広告になっていると言える。当時、完全自動運転できるようになることを目当てにテスラ車を購入したオーナーたちによる訴訟が実際に発生しているようだ。この宣言の実現のためには、膨大な費用を投入して当時の車両のコンピューターを無償交換する必要があるが、実現可能なのだろうか。そして交換後は自動運転が本当に実現するのだろうか。

テスラはこの長年の問題に対し、どう対応していくのだろうか。最新車種にばかり注目が行っているテスラだが、過去に販売済みの車両に対してどう動くのかも、引き続き注視したい。

【参考】関連記事としては「テスラ、完全自動運転の「未発表版」を一般オーナーで試験」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
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