タクシーアプリ展開のDiDi、ついに「赤字体質」脱却か 損失が大幅減

第7期決算、ライドシェア解禁なら躍進確定?

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出典:官報

タクシー配車アプリ事業を手掛けるDiDiモビリティジャパン株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:和久山大輔)の第7期(2023年4月〜2024年3月)決算公告が、このほど官報に掲載された。当期純損失は、前期比48%減の4億3,500万円であった。今期は売上高の記載はなかった。

過去3期の売上高と純損益の推移は、以下の通りとなっている。損失は毎年ほぼ半減し続けている。今後ライドシェアが全面解禁され、同社本来の強みであるライドシェア事業を自社展開し、売上高を大幅に伸ばせるフェーズになれば、大きな利益を確保できる潜在性も秘めている。

<売上高の推移>
・第5期:9億8,900万円
・第6期:20億1,100万円
・第7期:—

<純損益の推移>
・第5期:▲19億8,000万円
・第6期:▲8億4,300万円
・第7期:▲4億3,500万円
※▲はマイナス

■第7期決算概要(2024年3月31日現在)

貸借対照表の要旨(単位:百万円)

▼資産の部
流動資産 1,654
固定資産 17
資産合計 1,671
▼負債及び純資産の部
流動負債 1,207
賞与引当金 40
株主資本 464
資本金 100
資本剰余金 1,643
その他資本剰余金 1,643
利益剰余金 △1,279
その他利益剰余金 △1,279
(うち当期純損失)(435)
負債・純資産合計 1,671

■ソフトバンクと中国DiDiの共同出資により設立

出典:DiDiモビリティジャパン公式サイト

DiDiモビリティジャパンは、ソフトバンクと中国のライドシェア大手DiDi Chuxing(滴滴出行)の出資により2018年6月に設立された企業だ。日本においてタクシー事業者や関係省庁などと連携し、革新的なタクシー配車プラットフォームサービスを提供することを目的としている。

ソフトバンクの通信事業者としての事業基盤とマーケティング力と、世界最先端のAI(人工知能)技術を活用して高度な分析・予測テクノロジーを搭載するDidi Chuxingの配車プラットフォームを融合し、タクシー配車サービスなどの事業を展開している。

DiDiの配車アプリは、「呼ぶ」「乗る」「降りる」の簡単3ステップでタクシーの利用が可能になる。現在、北海道・宮城・東京・埼玉・千葉・神奈川・静岡・愛知・大阪・京都・兵庫・広島・福岡・長崎・沖縄でサービスを提供している。

なおICT総研が2024年6月に発表した調査結果によると、DiDiはタクシー配車アプリ利用者数で2位であった。1位は「GO(ゴー)」、3位「Uber Taxi(ウーバータクシー)」、4位「S.RIDE(エスライド)」となっている。

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■日本版ライドシェアに参入済み

DiDiモビリティジャパンは2024年1月に、タクシー事業者運行主体でのライドシェア、いわゆる「日本版ライドシェア」へ参入することを発表した。乗客向けのアプリ開発のほか、ドライバー向けアプリ開発などを行うといった内容になる。

さらにライドシェアドライバーの求人支援などを通じて、提携タクシー会社のライドシェア制度導入の支援も行う。乗客とドライバーの相互評価機能によるマナーの向上・車内トラブルの抑制や、非常時のセーフティ機能による安全性向上など、アプリの機能をアップデートし、より安心・安全なサービスを提供していく。

同年6月上旬からは、北海道・宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫・広島・福岡・沖縄エリアの提携タクシー会社と連携し、ライドシェア車両のマッチングを順次スタートしている。対象エリアは今後拡大していく予定のようだ。

ライドシェアとは?(2024年最新版)日本の解禁状況や参入企業まとめ

■ライドシェア全面解禁なら躍進確定か

DiDiモビリティジャパンは2024年3月から、沖縄で全国初のDiDiアプリ上での運転代行配車サービスを開始した。120社以上の運転代行時業者と提携し、ユーザーは最も近くにいるドライバーを配車することが可能になった。また同年7月には、東京の日個連東京都営業協同組合に所属する3,400名の個人タクシー事業者に対して、順次DiDiの配車サービスの提供を開始している。

ユーザーとタクシー事業者双方にとってメリットとなるサービスを開発・提供し続けているDiDiモビリティジャパン。本来のメイン事業であるライドシェアが日本でも全面的に解禁されたら、ますます躍進していくだろう。またライドシェア全面解禁後は、米国発のライドシェア大手Uberとの一騎打ちになるのか、国内タクシーアプリ大手との争いなどにも、注目していきたい。

【参考】関連記事としては「タクシーアプリ7社を徹底比較!GO、S.RIDE、Uber、DiDi・・・」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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