AI(人工知能)について「どんなイメージ」かを聞いた世論調査で、「なんとなくこわい」と回答した人が全体の33.2%に上ることが、このほど明らかになった。AIに対するこうしたイメージが、AI技術を活用したサービスの普及に向け、致命的な足かせとなる可能性がある。
AIに対する社会受容性の向上に向けた官民による取り組みが、今後重要となってきそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転、社会受容性を高めるアプローチ一覧(2024年最新版)」も参照。
■AIに対するイメージは?
この調査を実施したのは、インターネットリサーチ事業などを展開するNEXERとウェブ広告事業などを展開するCREXiAだ。調査は全国の男女1,000人を対象に、2024年6月にインターネットを通じて実施した。
AIに対するイメージを複数回答可で質問したところ、1位が「暮らしを豊かにする」で45.0%、2位が「なんとなくこわい」で33.2%、3位が「難しそう」で28.0%、4位が「自分たちの仕事がなくなる不安」で24.1%、5位が「必要不可欠」で13.2%だった。
また複数回答ではなく「もっとも強いイメージ」を1つだけ回答してもらったところ、「暮らしを豊かにする」が1位で28.7%、2位が「なんとなくこわい」で25.1%、3位が「難しそう」で16.1%、4位が「自分たちの仕事がなくなる不安」で14.1%、5位が「自分には関係ない」が5.5%の順だった。
■「なんとなくこわい」と回答した理由
「なんとなくこわい」と回答した人は、どのように理由でこのように感じるのか。プレスリリースで回答理由が複数紹介されているので、引用した紹介しよう。
・人間より頭がいいのでそのうち上回れそうだから。(10代・女性)
・AIがそのうち自分たちの意志をもち世界を乗っ取りそうなため(20代・女性)
・嘘の情報が多い(20代・女性)
・使いようによっては怖い(30代・男性)
・今後AIが脳だけでなく、すべてにおいて人間より上になったときに世界がどうなってしまうか不安(30代・女性)
・AIのせいで失業者も増えそうだし、便利さばかり求めて、人間らしさがなくなる。(40代・女性)
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001233.000044800.html)
こうしたAIに対するイメージや懸念を払拭できなければ、AI技術は普及しにくい。AIを活用したサービスや製品の利用や購入が活発にならなければ、民間企業が収益事業としてAI関連ビジネスを展開し続けることが困難になるからだ。
当然、自動運転タクシーや自動運転シャトルなどの運行にもAI技術は必須だ。障害物の認識などはセンサーが担うが、安全な完全自動運転が実現されるためには、「どういう運転操作や判断をすれば事故に結びつかないか」といったことを、過去の膨大な運転データをAIに学習させ、そのAIをシステムに搭載する必要がある。
■国や自治体が取り組むべきことは?
ちなみにこの調査で「暮らしを豊かにする」と回答した人が挙げた理由としては、以下のようなものがある。中には自動運転技術に期待する声もあり、今後、日本国内で自動運転シャトルや自動運転タクシーが徐々に増えれば、同じようなことを考える人は増えていきそうだ。
・最近はロボットからスマホまで様々なものがAIによって成り立ってるから(10代・女性)
・人工知能を用いることによって自動運転技術の発達や接客業の負担が減るなどのメリットが考えられるから。(10代・男性)
・チャットGPTなどいかせる技術があるから(20代・女性)
・これからの生活を支えていきそうだから。(20代・男性)
・人手不足などを補えたり、生活を便利にしてくれるから(20代・女性)
・仕事が効率化されて社会がより発展する(30代・男性)
・新しいインスピレーションをくれることがあるから(30代・女性)
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001233.000044800.html)
AIに対する社会受容性を高めるためには、まず「利用してもらうこと」が非常に重要だ。自動運転に関して言えば、自動運転モビリティの試乗会の開催に関する費用の一部助成などを国や自治体が展開するのも、意義があることと言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転バス、目撃後は「不安感じる人」が減る現象!実証で確認」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)