ライドシェア解禁!・・・沈黙貫くトヨタ、参入見送りか

オムロンは既存MaaSの活用で参入表明

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出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

日本版ライドシェアが2024年4月から始動するにあたり、大手企業もライドシェアビジネスへの参入を次々に発表している。

大手電気機器メーカーのオムロンのグループ会社であるオムロンソーシアルソリューションズ(OSS)は、全国の自治体を対象にライドシェアサービスの企画・導入・運用に向けた各種相談に対応する支援窓口を開設し、2024年4月1日から受付を開始した。

これまでにタクシー事業者やUberなどの配車プラットフォーマーなどが参入を表明したほか、ライドシェアに参入するために設立された企業もある。これに対し、モビリティ・カンパニーへの変革を加速させているトヨタ自動車は沈黙を保ったままだ。

「新しい領域へのモビリティの拡張」をテーマに掲げているトヨタは、車両を製造することだけではなく、「サービス」というアプローチで新分野でのモビリティ関連の取り組みを推し進めているが、ライドシェアにはタッチしないのだろうか。

■オムロンがライドシェア参入

OSSはこれまで、さまざまな交通課題に対して、将来にわたって市民の移動手段を確保するために自治体や地元の交通事業者と連携し、市民を対象に地域共助型生活交通サービス「meemo(ミーモ)」の開発や自治体への企画・導入・運用の支援に取り組んできた。

meemoは住民同士の送迎を軸に、バス・タクシーと組み合わせて移動手段の最適化を実現する地域共生型のMaaSアプリだ。送迎の「利用者」と「ドライバー」は、すでにmeemoを利用中の会員から招待されて登録できる「招待制」となっている。

移動したい人と送迎可能な人をマッチングし、ドライバーは自家用車による送迎を提供する。住民送迎を利用した後に、利用者は感謝のしるしとしてドライバーに「mee」を贈るという流れになっている。

出典:meemo公式サイト

■具体的な導入支援サービスは?

2024年4月から、タクシー会社が運行管理を行うことなどの条件付きでライドシェアが解禁された。これに際し、OSSはmeemoのシステムと自治体導入でのノウハウを活用し、全国自治体の交通課題解決に向けたライドシェアサービス導入のための相談窓口を開設した。

具体的な導入支援サービスは下記となる。

京都府舞鶴市では2022年6月からmeemoが本格導入されているが、2024年4月1日からは有償化され、自治体ライドシェアサービスとして提供されるという。

出典:オムロンプレスリリース

■すでに各社が参入を表明

タクシーアプリ大手のGOやUber Taxi、DiDiは、タクシー会社の運用をサポートするという内容で参入を表明済みだ。また運転代行予約サービスを手掛ける福井県のスグクルも、これまでのノウハウや実績、全国の運転代行とのネットワークを生かし、独自のシステムを取り入れたアプリをリリースすることを発表している。

ライドシェア事業への参入を目的に設立されたのは、newmoだ。メルカリの元幹部により立ち上げられた。「移動で地域をカラフルに」をミッションに、利用者視点に立ったサステナブルな地域交通の実現を目的にしている。ライドシェアサービスの運営を行っていく予定で、今後ライドシェアドライバーも募集していくようだ。

日本で始まったライドシェアサービスは、現状は限られたエリア・時間帯のみで展開される。今後ブラッシュアップされ、海外のライドシェアのような自由度の高いものになることも考えられる。それを見越し、各企業は事業計画を立てていると考えられる。

トヨタなど自動車メーカーの参入は今後あるのか、行方を見守りたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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