元メルカリ幹部、新会社でライドシェア事業!最高年収1,200万円で人材募集

プラットフォームめぐる競争が早くも激化

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タクシー事業者やプラットフォーマーらが相次いでライドシェア事業への参入を表明する中、2024年に設立されたばかりのスタートアップも動き出した。元メルカリ幹部が設立したnewmoだ。

具体的な事業形態などは不明だが、こうした新興勢力の参入は業界全体の活気につながる。newmoの概要とともに、ライドシェアをめぐる最新の動向を紹介していく。

■newmoの概要
利用者目線の持続可能な地域交通実現を目指す

newmoの創業者は、2023年12月までメルカリグループ日本事業責任者を務めていた青柳直樹氏だ。青柳氏はドイツ証券に勤めた後グリーに転職し、同社取締役CFO、事業統括本部長を歴任した。その後、メルカリでは執行役 SVP of Japan RegionやMarketplace CEOとして日本事業を統括するなど、その経営手腕は高く評価されている。

青柳氏はnewmo設立に際し、「利用者視点に立ったサステナブルな地域交通」実現を掲げ、ライドシェア事業への参入を表明した。

利用者が安心・安全・快適に利用できるユーザーエクスペリエンス(UX)と、ドライバーとして空き時間を活用して柔軟に働くことができる仕組みづくりなど、地域や生活者にとって真に価値ある移動手段を提供することで、多様かつ自由な移動の実現を図っていく方針だ。事業の提供開始時期や方法・地域などの詳細については、決定次第アナウンスする。

プラットフォーマーとしての参画になるものと思われるが、一般ドライバーや既存タクシー事業者らとどのような関係を構築し、またどのような付加サービスで他社と差別化を図っていくのか注目だ。

エンジニアら人材を広く募集

1月4日に設立したばかりのnewmoは、現在スタッフ強化に力を入れている。サービス開発エンジニアやマーケティング担当をはじめ、事業戦略・価格戦略、プロダクトマネージャー、デザイナーなど、各方面で活躍できる人材を募集している。

サービス開発エンジニアは、ライドシェアアプリをゼロから開発し、リリースまでを推進する。Go、Swift、Kotlinいずれかの経験が必要だ。

事業戦略・価格戦略のポジションでは、大量なデータの分析を通じて価格戦略の設計や事業展開戦略を広く担う。配車ロジック・プライシングといったライドシェアサービスの根幹を担うとともに、サービスの価格やユーザー向けインセンティブの設計など広く手掛けていく。

デザイナーは、サービス立ち上げフェーズにおいてUX設計やリサーチ、UIデザインなどプロダクト開発のすべてのフェーズに横断的に携わる。

上記の職はいずれも年収800万〜1,200万円で完全週休2日制、勤務はフレックスタイム制や裁量労働制となっている。

このほかにも、ベンダー管理・サービスオンボーディングやオープンポジション(いずれも年収600万~1,200万円)なども募集している。

▼newmo株式会社 すべての求人一覧
https://hrmos.co/pages/newmo/jobs

■ライドシェア解禁の概要
タクシー事業者のもと一般ドライバーがサービス提供

政府は長らくライドシェア禁止の方針を貫いてきたが、昨今のタクシー需給の不均衡などを背景に、2023年秋ごろにライドシェア解禁も含めた議論に着手した。

デジタル行財政改革会議が2023年12月に発表した中間とりまとめ案では、タクシー事業に関する規制緩和とともに、地域の自家用車や一般ドライバーを活用したライドシェアを導入し、タクシー事業者の運行管理下で新たな仕組みを創設する案が盛り込まれた。

タクシーが不足する地域や時期、時間帯などを客観指標化し、これに基づきタクシー供給が追い付かない場合において一般ドライバーの参入を認める内容だ。ただし、運行主体はタクシー事業者となるため、当面一般ドライバーはタクシー事業者に属する形でサービスを提供することになる。

タクシー事業者以外がライドシェア事業を行う法制度については、2024年6月をめどに議論を進めていくとしている。

■業界の動向
タクシー業界は一般ドライバー確保に向けプレエントリー開始

日本交通は2024年1月、ライドシェアドライバー希望者のプレエントリー受付を開始した。本採用前のエントリーとなるが、国土交通省の正式な通達を待って具体的な求人などの情報を案内する。副業可能なパートタイム雇用で、自動車運転免許取得後1年以上経過している人が対象だ。

日本自動車交通もライドシェアに関する求人を出しているようだ。2024年3月以降の事業開始とし、使用車両や募集に関する詳細は国土交通省通達や業界団体のガイドラインを待って確定するなど、プレエントリー状態だが、勤務日数は週に1日から5日で週20時間を上限とするほか、タクシードライバーへのキャリアアップも可能とするなど、柔軟にドライバー不足を補っていく方針のようだ。

指針・ガイドラインなど詳細が決まり次第、こうしたタクシー事業者による動きは加速するものと思われる。日本自動車交通のように、正社員としての道を用意することで本業にも貢献できるメリットがありそうだ。

このほか、報道によると東京ハイヤー・タクシー協会がライドシェア導入に向けた指針の策定を進めているようだ。

【参考】ライドシェアドライバーの求人については「日本版ライドシェア、運転手バイト「時給1,600円〜」!タクシー会社が募集開始」も参照。

【参考】タクシー業界の動向については「批判殺到!ライドシェア「1乗車20キロ以内」案 タクシー団体が検討か」も参照。

プラットフォーマーも準備着々

モビリティ系プラットフォーマー各社もライドシェア対応を加速している。日本交通系で国内最大のタクシー配車アプリを展開するGOはいち早く日本型ライドシェアへの対応を表明し、タクシー事業者向けの専用相談窓口を開設したほか、ドライバー向けアプリの開発・提供やタクシー事業者・自治体向けの管理システムの開発・提供、ドライブレコーダーなどの機器類の提供、ライドシェアドライバーの採用支援を行っていく方針だ。

クラウド型タクシー配車システムの開発などを手掛ける電脳交通や、クラウド型AI自動ルート作成システムや配車アプリを提供するREA、MaaS領域において各種シェアサービスなどを手掛けるNearMeなども、相次いでタクシー事業者や自治体向けの相談窓口を開設した。

NearMeは、移動の課題解決にはドライバーを増やす「量」の解決と資産の有効活用と効率化という「質」の解決の2種類があり、その上でシェア乗りを通して「質」に向き合うこととし、アプリ・ウェブブラウザでの連携や、交通事業者自社アカウントによるLINE配車連携、デマンド交通のUX・集客支援、運行の仕組み開発、シェア乗りの可能性など、幅広いソリューションを提供していくとしている。

配車アプリの開発・運営を担うスグクルもライドシェア参入を表明した。全国の運転代行とのネットワークを生かし、3月にも独自システムを取り入れたアプリを完成予定としている。

モール型ネット配車システムの開発を手掛けるポケットタクシー協会は、展開中のクラウド型タクシー配車システムのオプションとして、日本型ライドシェア対応オプションアプリの仕様を公表した。3月にも実装開始する予定という。

このほか、海外で高い実績を誇るUberやDiDiの日本法人もライドシェア導入支援に向け、全国のタクシー事業者との協議やアプリの開発などに着手している。

■【まとめ】異業種からの新規参入に注目

年度内に示されるだろうライドシェア解禁に向けた指針・ガイドラインがどのようなものになるか、さらにはタクシー事業者以外によるライドシェアサービスの議論がどのように進んでいくのか、注目すべき点は多い。

指針が示されれば、各社の動きが一気に活発化することは確実な情勢で、今回のnewmoのように、これまでタクシー配車サービスに関わりがなかった企業がどのような動きを見せるか、要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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