ANAが空飛ぶクルマ向けの離発着場を開発する可能性が高まった。空飛ぶクルマを開発する米Joby Aviationと野村不動産の3社で、日本においてのeVTOL(電動垂直離着陸機)の離着陸場(バーティポート)開発に向けた共同検討に関する覚書を締結したことが発表された。
eVTOLは、いわゆる空飛ぶクルマのことだ。日本国内の都市部向けを中心として、利便性の高い離発着場の開発に向けた事業的・技術的な検討、社会需要性を高めていくための取り組み、戦略的パートナーシップの構築に向けた検討などを共同で進めていくという。
【参考】関連記事としては「バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場」も参照。
■2022年2月にパートナーシップ
ANAホールディングスとJoby Aviationは2022年2月に、eVTOLを活用した日本においての新たな運行事業でパートナーシップを締結している経緯がある。このパートナーシップでは、地上交通における連携などを想定して、トヨタ自動車も参加している。
パートナーシップを締結後は、eVTOLの運航サービス実現に向けた事業運行を進めつつ、首都圏と関西圏を中心に利便性の高いエリアへの離発着場設置に向けた、各種調査や検討にも取り組んできた。
今回の覚書締結によって共同の取り組みをさらに発展させ、地上インフラの開発や整備を通じた新しい空の移動手段の実現を目指していくという。
■米Joby Aviationの実力は?
Joby Aviationは2009年9月、エンジニアのJoeBen Bevirt氏によって設立されたベンチャー企業だ。カリフォルニア州サンタクルーズを拠点として、eVTOLの開発を手がけている。
同社が開発を進めているのは5人乗りの商用eVTOLであり、最大航行距離約160キロ超、最高速度約320キロ毎時で航行可能とされている。電動で排気ガスの排出がゼロであり、都市圏でも便利で快適な新たな移動体験を実現するために設計されているという。
また、飛行中はほぼ無音で、離着陸時はヘリコプターと比較して100倍の静音性を発揮するように開発されているようだ。
2021年8月には、ティッカーシンボル「JOBY」でニューヨーク証券取引所で株式の取引が開始されている。2022年1月には、2機目の試作機で「米国連邦航空局(FAA)特別耐空証明」と「米空軍耐空証明」を取得した。
■空飛ぶクルマは「脅威」ではない
航空会社にとって、空飛ぶクルマは「脅威」ではなく、事業拡大のチャンス──。そう捉えると、ANAがJoby Aviationとの取り組みを加速させているのも合点がいく。野村不動産を含めた3社タッグの取り組みには、引き続き関心が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタ出資のJoby、米軍との空飛ぶクルマ契約「1億ドル超」に」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)