空飛ぶクルマ、しかも自動運転!ダブル革命に挑む韓国Supernal

現代グループ傘下のエアタクシー開発企業

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出典:Supernalプレスリリース

空飛ぶクルマ」と「自動運転」の2つを掛け合わせた空飛ぶタクシー(エアタクシー)の開発に挑戦している企業がある。韓国の現代(ヒョンデ)自動車グループがアーバンエアモビリティ部門として設立したSupernal(スーパーナル)だ。

同社は現代グループの技術力と製造能力を活用し、2028年の空飛ぶタクシーの運航開始を目指しているという。

■現代傘下のエアモビリティ開発企業

Supernalは、現代自動車グループがモビリティ・ビジョンの1つとして掲げる空飛ぶクルマなどのエアモビリティの開発を推進するため、2021年に設立された。米ワシントンD.C.に本拠を置き、カリフォルニア州アーバインにエンジニアリング本部、シリコンバレーに近いカリフォルニア州フリーモントに研究開発施設を設置している。

「We’re building new roads in the sky(空に新しい道を作っている)」をミッションに、公共や民間のパートナーと協力し、既存の交通網を補強するモビリティソリューションを開発している。

Supernalが目指すのは、エアモビリティを提供することで地域社会をつなぎ、移動時間の節約をすることだ。そのために、まずは2028年にeVTOL(電動垂直離着陸機)によるエアタクシーの就航を開始する計画だという。

■開発中の機体のスペックは?

現在、Supernalが開発中の第1世代の空飛ぶクルマは4人乗りで、時速約120マイル(約193キロ)、1回の充電による航続距離は25〜30マイル(約40〜48キロ)となっている。1,000〜2,000フィート(約304〜609メートル)の低高度で飛行する。

333メートルの東京タワーと、634メートルのスカイツリーとほぼ同じくらいの高さでの飛行というと、イメージしやすいだろうか。なお当面は自動運転(自動飛行)ではなく、人間が操縦する予定だが、自動運転化も視野に入れているようだ。

同社の説明によると、この新型エアモビリティはヘリコプターと飛行機をミックスしたようなものになるという。垂直に離陸し、飛行機のように前進し、垂直に着陸するといった具合だ。

バッテリーや機体本体、ローター、センサーの開発にあたり、民間航空機などの既存の技術や製造プロセスをベースにしているようだ。またエアモビリティの離着陸場となる「バーティポート」も開発しており、充電のために充電ステーションが整備される予定だ。

【参考】関連記事としては「バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場」も参照。

■2028年のエアタクシー実用化に注目

2028年のエアタクシー実用化に向けて、Supernalは連邦航空局(FAA)と積極的に連携し、型式証明などの手続きを進めていくようだ。

エアタクシーは、まずはカリフォルニア州ロサンゼルスやフロリダ州マイアミ、韓国・ソウルで展開する予定で、最終的にはサンフランシスコ・ベイエリアをターゲット市場にしているようだ。気になるフライト料金は、Uberと同程度にすることを目指しているという。

5年後の2028年にSupernalによる低価格のエアタクシーは実現するのか。同社の事業の進捗に関心が集まりそうだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの機体メーカー一覧(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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