世界に先駆けて自動運転タクシーの実用化が進む米国。自動運転技術が進化していく反面、交通トラブルもたびたび起こしており、サービス拡大に反対する抗議活動なども行われている。
そんな中、米テキサス州オースティンは2023年9月に自動運転車に関するデータを公開した。米メディアが報じているもので、同年7月以降で19件のトラブルが報告されているという。
複数の住民が、GM傘下のCruiseのドライバーレスの自動運転タクシーが不審な動きをしたり、交通ルールを違反したり、歩行者にぶつかりそうになっていると、同市の職員に報告しているようだ。
オースティンの市長室は、自動運転車が警察官や工事現場での交通誘導員など、人間の指示に従うことが難しいという点も課題として挙げた。市としては解決に向け、自動運転タクシーサービスを提供するCruiseやWaymoと話し合っていく意向のようだ。
■信頼性と安全性に懸念を示す住民も
自動運転開発企業であるGM傘下のCruiseは、自動運転タクシーサービスをオースティン市でも展開することを2022年9月に発表している。またGoogle系Waymoは、オースティン市でのサービス開始を2023年8月に発表した。
オースティン市では、市民が自動運転タクシーの導入に興奮している一方で、その信頼性と安全性について懸念している人も多くいるようだ。
なお、自動運転車に関する事故やトラブルに遭遇したり見かけたりした場合は、電話番号「311」に通報することができるという。311は米国で苦情専用電話と呼ばれており、警察や消防に通報するほど緊急を要してはいないが、生活する上でトラブルが発生したり苦情を入れたりしたい場合に電話する番号となっている。
■どのような反応が住民から増えてくるか
自動運転タクシーが早くから導入されたカリフォルニア州サンフランシスコでも、たびたび交通トラブルが起きている。直近では2023年8月にCruiseの自動運転タクシーが消防車と衝突し、1人の負傷者が出ている。
またアリゾナ州フェニックスでは、Waymoの自動運転タクシーが警察官の指示に対応できず交通を遮断したというトラブルもあった。
自動運転車はまだ開発途中の技術ということもあり、現在は安全面の確保を模索しながらの展開になっている。開発中の技術に失敗はつきものであり、自動運転タクシーなどの導入を慎重にすべきだという市民の不安の声が出るのも仕方が無い側面があると指摘する専門家もいる。
今後、自動運転タクシーを展開する都市でどのような反応が住民から増えてくるのか、引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「GMの自動運転タクシー、消防車と衝突!その代償は「車両数半減」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)