Google系の自動運転開発企業である米Waymoと米ライドシェア最大手のUber Technologiesは2023年5月26日までに、複数年にわたる新たな戦略的提携を行ったことを発表した。
この提携は、米アリゾナ州フェニックスにおいて、Uberの配車サービスやフードデリバリーサービスに、Waymoの自動運転車を活用するためのものだという。
つまりUber側がWaymoに自動運転車の使用料を支払う形態での提携とみられ、Waymoにとっては自動運転技術の開発に費やしたコストを回収するための大きな収入源の1つとなりそうだ。
■WaymoとUberの提携内容は?
Waymoはアメリカそして世界において自動運転開発をリードしてきた経緯がある。
Waymoは2018年12月に、フェニックス郊外で世界初となる自動運転車を活用した有料の商用タクシーサービス「WaymoOne」を、一部ユーザーを対象に開始した。当初はセーフティドライバー同乗のもとサービスを提供していたが、2019年末ごろに一部ユーザーを対象にドライバーレスのサービスを導入し、2020年10月ごろには対象を一般ユーザーに拡大している。
2022年4月にからは営業エリアが拡大され、フェニックス中心部でもサービスが展開されている。今回のWaymoとUberの提携は、このフェニックスでのエリア拡大に伴うもので、フェニックスでのUberの配車サービスやフードデリバリーサービスにおいて、Waymo車両が用いられるようだ(具体的な台数は明かされていない)。
例えばUberのユーザーは、UberのアプリでWaymoの自動運転車を選択することができるようになるという。また、これまで通りWaymoのアプリでもWaymoの自動運転車を呼び出すこともできる。
■ウェイモCEO「さらに多くの人にアプローチ」
WaymoのCEO(最高経営責任者)であるTekedra Mawakana氏は「完全自動運転がもたらす楽しさとライフセービングの効果を体験していただくための、新たな方法を提供できることをうれしく思う」としている。
さらに、「Uberは長年にわたり人間の運転によるライドシェアのリーダーであり、Waymoの先駆的なテクノロジーや完全EV(電気自動車)と、Uberの顧客ネットワークの組み合わせにより、Waymoがさらに多くの人にアプローチする機会を得ることができる」と語った。
またUberのCEOであるDara Khosrowshahi氏は「完全自動運転は急速に日常生活の一部となりつつあり、Waymoの素晴らしい技術をUberのプラットフォームに導入できることをうれしく思う」とコメントしている。
■「ギグワーカー」の存在が不要に?
Uberはもともと子会社の「Advanced Technologies Group(ATG)」にて自動運転技術の自社開発を進めていたが、2020年12月に米Aurora Innovationに売却したという経緯がある。
今回のWaymoとの提携により、Uberのサービスの一部を完全自動運転で展開することになったUber。Uberのサービスから「ギグワーカー」の存在が消える日はやってくるのか。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)