トヨタ自動車の2023年3月期の決算発表が5月10日に行われる。売上高や営業利益、経常利益、最終損益、自動車の世界販売台数などが公表されるが、次世代技術・サービス分野での新たなトピックスは今回出てくるのだろうか。
トヨタが展開するオウンドメディア「トヨタイムズ」では、開発が進められているさまざまな新技術やコンセプトモデルが紹介されているが、その中から決算発表にあわせてお披露目される製品がもしかするとあるかもしれない。
まさか「自動運転移動カフェ」が発表されるかも!?
■「自動運転移動カフェ」の発表はある?
トヨタイムズでは、新たな自動運転モビリティが2023年4月7日に紹介されている。e-Paletteの派生プロダクトとして模索されている「Bridge-Palette」だ。
これはe-Paletteと補完し合えるモビリティのコンセプトモデルで、今回は「自動運転移動カフェ」と呼べるようなモデルの写真が掲載されている。ボックス型のボディ内部にはテーブルと椅子が配置されており、中に座ってコーヒーを楽しむことができるようなデザインになっている。
Bridge-Paletteの駆動部とボディは切り離せることができ、内部は自由にアレンジ可能だという。ボディ部分には、水素を手軽に持ち運べる「ポータブル水素カートリッジ」が搭載されており、駆動部と切り離しても水素燃料で電気を生み出すことができるようだ。
「自動運転で目的地に着いたら、駆動部は別の場所に行く。そして違うボディを動かして、ほかの場所にも価値を届けるというコンセプト」と説明されている。まずはこのBridge-Paletteの移動カフェバージョンを、イベントなどで活用するといったことがあるかもしれない。
そのデビューを前に、決算説明会でお披露目をする可能性はゼロではない。
【参考】関連記事としては「トヨタ、こっそり「自動運転移動カフェ」を開発中!?」も参照。
■仮眠シート「TOTONE」の実用化は?
トヨタイムズで2022年10月に紹介された仮眠シート「TOTONE(トトネ)」についても触れておきたい。
TOTONEは、短時間の休憩によるパフォーマンス向上をコンセプトに据えた仮眠シートで、15〜30分という短時間の休憩でパフォーマンスを上げることを目指して試作されている。自動車の車内は、周囲の環境と隔離した空間設計や環境制御を行いやすい個室と同然とも言え、広さは限られているものの、開発チームは「狭いほうが実はよく眠れるかもしれない」という仮説のもと、寝室よりもよく眠れる狭い空間として自動車への搭載を見越したTOTONEの開発を進めているという。
トヨタイムズでは、「数年後の自動運転社会では『寝ながらドライブ』という未来もあるかもしれません」というコメントも掲載されており、自動運転車の開発が進めば、TOTONEも実用化に近くなるのではないだろうか。
【参考】関連記事としては「トヨタが仮眠BOX開発!自動運転時代の「寝ながらドライブ」から逆算」も参照。
■病院でも自動運転搬送ロボットが活躍中
なお、愛知県豊田市のトヨタ記念病院で自動運転の搬送ロボットが活躍していることが、2022年11月のトヨタイムズで紹介されている。このロボットは、東京五輪において生活支援ロボットとして展開された「HSR」という名称のロボットの技術が応用されているという。
記事によると「看護師の勤務時間の4割が、モノを運ぶなどの仕事に費やされていたこと」に気がついたことにより、自動運転搬送ロボットの開発プロジェクトが2019年にスタートしたという。現在4台のロボットが5病棟で活躍しており、今後は展開病棟を17病棟まで増やし、台数も約30台にする計画のようだ。
「すべての人に移動の喜びを。」といったコンセプトの動画も公開しているトヨタ。乗用車だけでなく、先進技術を駆使し、移動にまつわるさまざまなプロダクトを開発している。どんなものがまずは実用化されていくのか、楽しみに待ちたい。
【参考】関連記事としては「トヨタ、看護師の「モノを運ぶ単純作業」を自動運転ロボで代替」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)