自動運転バスの実証実験が各地で行われている。しかし実証段階ということもあり、一定の割合で事故が起きているのが現状だ。そんな中、羽田空港で行われている自動運転バスの長期実証実験では、現時点で累計88日・599便を無事故で運行するという成果を出している。
実証を行っているのは、鹿島建設株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:天野裕正)と、ソフトバンク子会社のBOLDLY株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長兼CEO:佐治友基)だ。
■1日8便!定常運行に近い3カ月の長期実証
2023年1月5日〜3月31日まで、羽田空港に隣接する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」と羽田空港第3ターミナル間の公道において、仏Navya製の自動運転バス「NAVYA ARMA」の長期実証実験が実施されている。2023年2月27日時点において、累計88日、599便が無事故で運行しているという。
NAVYA ARMAは定員6人で、往復約3.9キロを最大時速20キロで走行する。自動運転バスを利用するためには事前予約が必要だが、誰でも無料で乗車可能だという。
バス停はHICityの交通広場と羽田空港第3ターミナル南側に設置されている。今回の実証では、約3カ月という長期実証で1日8便の自動運転バスを運行しており、定常運行に近い利用環境のもとで実施されている。
■鹿島建設とBOLDLYのこれまでの取り組み
HICityでは2020年9月当時、国内初の自動運転バスの定常運行がスタートした。これまで累計5万8,000人以上が乗車しており、無事故で安全運行を継続しているという。一般車両の交通量が多い都道311号環状八号線を含む運行ルートの定時運行の実証実験は、2021年12月と2022年4月、9月、11月に短期間で行っている。どの実証でも車両オペレーターが同乗している。
なお、2021年9月に実施された実証では、一時的に閉鎖空間にしたエリアで3台の自動運転バスの同時無人運行を検証している。その際、自動運転レベル4の運行技術水準に到達していることを確認した。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。
■このまま「事故ゼロ」に期待
自動運転に求められる安心・安全を実現するのは決して容易ではない。しかし、このまま順調にいけば、今回の実証期間約3カ月で無事故を実現できるかもしれない。羽田での実証は以前から注目されているが、事故ゼロの達成により、さらに大きなインパクトを与えられるだろう。引き続き同実証に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転バスが羽田空港の公道デビュー!実証実験を拡大」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)