自動運転の都市型ロープウェイを開発する日本企業のZip Infrastructure株式会社(本社:神奈川県秦野市/代表取締役:須知高匡)はこのほど、マレーシア科学大学とマレーシアの交通渋滞解消に向け、都市型自走式ロープウェイの導入に向けた基本合意契約を締結したことを発表した。
Zip Infrastructureは都市型自走式ロープウェイとして「Zippar」を開発している。今回の基本合意契約は、このZipparをマレーシアで導入するため、その検討に必要なシステム安全性や導入路線の事業経済性、技術拡張性の研究・調査支援を目的としているようだ。
■マレーシアの渋滞緩和へ貢献
マレーシアでは各地で深刻な交通渋滞が問題となっている。そこで、Zip Infrastructureはマレーシア科学大学と連携し、環境アセスメントや同国におけるZipparの適応、Zipparの導入候補地の調査を行っていく。
マレーシア科学大学は、マレーシアで進められている多数の交通計画についての研究・調査支援を行っている。Zip Infrastructureは同大学と連携することで、Zipparの海外導入時の安全性を確立させながら、事業展開を進めていくという。
ちなみにマレーシアでは、自動運転車の導入で渋滞の緩和を目指そうという動きもある。ただし、渋滞の緩和に向けては、自動運転車だけではなく、さまざまなアプローチを同時並行的に展開するのも有効だ。
Zipparのような日の丸ベンチャーが新たに開発している交通手段が、マレーシアの交通渋滞の緩和に貢献するのか、注目だ。
■自走式ロープウェイ「Zippar」とは
Zip Infrastructureは「渋滞のない、どこでも駅徒歩5分圏内となる世界」を目指し、新たな交通システムであるZipparを開発・展開している。
Zipparの特徴は「低コスト、自動運転、自由設計、快適・安心走行」で、従来のモノレールの半分の輸送量が確保できるシステムを、5分の1のコストと期間で建設可能だという。
都心部で導入することで渋滞の緩和や電車の混雑解消につながることが期待されているほか、物資の運搬や災害救助、テーマパークのアトラクションなど、さまざまなシーンで活用できそうな未来型のモビリティだ。
Zipparは現在、神奈川県のZip Infrastructure本社で市場投入プレモデルのテストを行っており、2023年春に試乗会も予定されているようだ。引き続き、同社の動きに注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転ロープウェイ、2022年半ばに「8人乗り型」試験開始へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)