自動搬送ロボットのソフト・ハードウェアを開発するベンチャー企業の株式会社LexxPluss(本社:神奈川県川崎市/代表取締役:阿蘓将也)は2022年6月10日までに、自動搬送ロボット「Hybrid-AMR」をはじめとするロボティクス・オートメーション製品の技術情報について、法人パートナー向けに無償公開するプログラムを開始することを発表した。
技術情報というのはある意味「企業秘密」とも言える部分だが、これを無償公開するとはどういうプログラムなのだろうか。
■技術情報の閲覧やダウンロード、改変も可能
LexxPlussが開始する「Open Source Industrial Roboticsプログラム」では、同社が運営するプログラムサイトに公開される技術情報を、機械メーカーやSIer などのパートナー企業がロボット製造や技術開発などに活用できるようになる。
独自ロボットの製造開発や、既存ソリューションと組み合わせた上で、物流倉庫や工業現場などに提供するなども可能になるという。
具体的には、「自動搬送ロボット『Hybrid-AMR』や現在開発中の自動移載システム『Luft-Conveyor』などのメカ設計、エレキ設計、組み込みソフトウェア、API等に関わる技術情報」を公開するようだ。製造や品質プロセスについても追って公開予定だという。
公開される情報には、LexxPlussのプログラムサイトからアクセス可能だ。自由に閲覧するのはもちろん、ダウンロードや改変もできる。LexxPlussはロボット統合制御システム「Konnectt」のサービスを提供し、パートナー企業と協力することで自動搬送ロボットの普及に貢献していくという。
■「オープンソース」が当たり前の時代へ
LexxPlussが「Open Source Industrial Roboticsプログラム」を始めるのは、ロボティクス・オートメーション製品ではハードウェアもソフトウェアもどちらも重要だと考えるためだ。従来はハードウェアが重要だとされ、製品を導入して運用するにも、非効率なカスタマイズ対応やメンテナンスが必要なケースが多かった。
しかし、ハード・ソフトどちらも重要な場合、ロボティクス・オートメーション技術の汎用性やメンテナンス性、信頼性を高めるために、情報を公開することが必要だと決意したという。
近年、自動車だけでなくさまざまな分野でオープンソースでの開発が増えてきている。今回のLexxPlussのプログラムは、あくまでもパートナー企業だけに公開されるため、限定的なオープンソースに近いと言えるだろう。プログラムへの参加にあたっては、覚書を締結するという。
■【まとめ】自動搬送ロボの実用化・普及推進に期待
2020年3月に元ボッシュ社員の阿蘓氏が創業したLexxPlussは、2021年11月までに6社からの資金調達を実施しているなど、注目の企業だ。技術情報の公開プロジェクトによって企業連携を深め、日本における自動搬送ロボットの実用化・普及が推進されることに期待したい。
【参考】関連記事としては「自動搬送ロボベンチャーのLexxPluss、資金調達を発表!人員・生産体制強化」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)