東京都は「未来の東京」戦略で、無人自動運転による移動サービスの2025年の実現を政策目標として掲げており、そのための実証実験をこれまで続けている。そして2022年度も西新宿エリアにおいて、実証プロジェクトの公募を始めた。
▼西新宿エリアにおける自動運転移動サービス実現に向けた5Gを活用したサービスモデルの構築に関するプロジェクト
https://autonomouscar-tokyo.jp/nishishinjyuku/index.html
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■2022年5月11日〜6月20日まで公募中
2022年度の実証プロジェクトは、都が委託している事業プロモーターである日本工営が「西新宿エリアにおける自動運転移動サービス実現に向けた5Gを活用したサービスモデルの構築に関するプロジェクト」として、2022年5月11日〜6月20日まで公募している。7月ごろに1件程度を選定する予定だ。
日本工営は選定されたプロジェクト実施者に対し、2023年3月まで総額4,000万円(税込)の費用負担や課題解決などに関する支援、実証で得られた結果をもとにした法的な課題や事業継続性の検証などを行う。公道での検証は2023年1月ごろに実施予定だという。
■2021年度に実施されたプロジェクト内容は?
西新宿は「スマート東京先行エリア」として、2023年度という早期に自動運転を事業化することが目指されている。2021年度は先行的に5Gを整備している西新宿エリアで、2つのプロジェクトを2021年11月〜2022年1月に実施された。
京王電鉄バスなど10社によるプロジェクト
1つ目のプロジェクトは「都心部特有の自動走行困難な営業ルートでの自動運転バス運行実証」だ。
路線バスを用いて実施され、事前に顔認証登録をしたモニターが無料で乗車した。既存ダイヤの間で、新宿駅西口から都庁第一本庁舎と第二本庁舎、都議会議事堂を経由して新宿駅西口に戻る約30分の運行を実施した。
実証には京王電鉄バスをはじめ、京王バスや日本モビリティ、京王電鉄、あいおいニッセイ同和損害保険、ソフトバンクなど計10社が参加した。
大成建設など9社によるプロジェクト
2つ目のプロジェクトは「まちのインフラと協調した自動運転サービスの運行実証」だ。
5Gで車両と信号情報を連携することによる交差点での安全な走行支援や、道路に設置したセンサーによる発進支援、トンネル内における特殊塗料を用いた自社位置推定支援など、都内で初めてインフラ側からの走行支援を導入した。
同時に、大容量データを5Gにより低遅延で伝送することによる、複数車両の同時遠隔見守りも実施した。実証には大成建設とティアフォー、損害保険ジャパン、KDDI、アイサンテクノロジー、小田急電鉄など9社が参加した。
■今年度に選定されるプロジェクトに注目
2025年の無人自動運転による移動サービスの実現を掲げる東京都。西新宿における実証プロジェクトは、その実現に確実に寄与するはずだ。今年度はどんなプロジェクトが選定されるのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「東は「自動運転」、西は「空飛ぶクルマ」 東京・大阪の方針比較」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)