NTTデータが自動運転時代を見据え、車内空間でのサービス提供を目的とした専用タブレットを開発している。その名も「モビコマ」だ。2022年6月15日から沖縄県での実証がスタートするようだ。
実証にはNTTデータのほか、オリックス自動車とJTBコミュニケーションデザインも参加する。
■車内向けの観光MaaSサービスとして
「モビコマ」は、車での旅の時間を楽しむ観光MaaSサービスとして展開される。車内に複数設置された専用タブレットを使うことで、同乗者が情報を共有しながら旅プランを自由に設定できる。
位置情報や目的地ごとのおすすめスポット情報も、キャラクター「さすけ」が教えてくれる。カラオケや話題ルーレットなどのエンタメコンテンツもあるようだ。
沖縄のオリックスレンタカー那覇空港店では、6月15日から9月30日まで、モビコマを一般の旅行客数千人を対象に提供する。モビコマは、行き先がなかなか決まらないことや長時間移動で感じる退屈さ、誰か1人だけにリサーチの負担がかかること、運転手とのコミュニケーションがなくなることなど、車での旅行にありがちな地味な不満を解消してくれる。
レンタカーやカーシェアの事業者がモビコマを導入することで、単なる移動手段として車両を顧客に提供するだけでなく、新たな付加価値も提供できる。顧客接点を生かすことで、新たな収入源が創出できる可能性もあるようだ。観光事業者や自治体にとっては、モビコマを活用することで、観光需要の創出と地域経済の活性化が期待される。
■自家用車や自動運転車への搭載も視野
NTTデータは、モビコマを導入するレンタカーやカーシェア事業者を拡大して2023年度の商用化を目指している。将来的には自家用車や自動運転車への搭載も視野に入れ、自動車会社との検討を進めているという。沖縄だけでなくそのほかのエリアでの実証実験も実施していくようだ。
自動運転が実用化されると「運転」が必要なくなるため、車内環境が大事になる。いかに快適に過ごせるかを開発する企業は少なくない。モビコマも自動運転社会を見据えたサービスだ。
レンタカーやカーシェアでの実証を重ねてユーザーのニーズを把握することは、いずれ自動運転化される自家用車への転用にも大きく役立つだろう。NTTデータの今後の取り組みにも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転の重要シナリオ、網羅的に自動生成!NTTデータ子会社がソフトリリース」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)