自動車部品メーカー大手のトヨタ紡織は2022年5月23日までに、「香りの可視化」を実現するセンサー開発を手掛ける株式会社アロマビット(本社:東京都中央区/代表取締役社長:黒木俊一郎)へ出資することを発表した。
自動運転の技術が進化すると人間による運転が不要になるため、以前は運転手だった人が車内でさまざまな過ごし方をできるようになる。そのため車選び際、従来よりも車内空間の快適性が重要視されるようになるとみられる。
トヨタ紡織はこうした観点から、これまでに自動運転化を意識した車内空間の開発に力を入れてきた。そして今回の発表からは、人の五感の1つである「香り」も、快適な車内空間をつくる上で重要な要素の1つと同社が捉えていることが分かる。
アロマビットは2014年創業のスタートアップ企業。目に見えない香りやにおいを可視化する「ニオイイメージングセンサー」の開発・生産などに取り組んでいる。
▼アロマビット公式サイト
https://www.aromabit.com/
■次々と次世代の車内空間を提案
前述の通り、トヨタ紡織は以前から車内空間の価値向上に取り組み、車室空間開発に特化した「車室空間開発部」も設置している。2018年9月には自動運転OS開発のティアフォーなどと協業し、VR(仮想現実)技術を活用した移動空間を提案している。
2021年2月には自動運転コンセプト空間「MOOX」を使った展示を愛知県で行い、車窓のAR(拡張現実)映像に合わせて音響・振動・香りをもたらす装置や、試乗者のジェスチャー(動作)による操作に対応した映像などに関する技術を披露した。
2021年5月には次世代車両の車内空間の開発を加速すべく、新たにドライビングシミュレーターを導入したと発表した。このドライビングシミュレーターは、自動運転でも乗り物酔いがしにくい車内空間を追求するものだ。
2022年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の技術見本市「CES 2022」においては、自動運転時代を想定した車室空間コンセプトを2つ展示した。1つ目は自動運転レベル4を想定した、都市部で活躍する自動運転シェアモビリティの空間コンセプト「MX221」だ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル4の車内、想像つく?トヨタ紡織、CES2022で提案」も参照。
■「香りの可視化」で車内空間はさらに進化?
車室空間開発に重きを置いているトヨタ紡織。「香り」という本来目で見えないものを可視化するアロマビットの技術は、今後のトヨタ紡織が開発する車内空間に実装されていくのだろうか。注目だ。
【参考】関連記事としては「トヨタ紡織、「車室空間」で自動運転に積極的アプローチ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)