川崎重工業株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:橋本康彦)は2022年4月1日までに、多用途UGV(無人地上車両)による無人物資輸送の実証実験に成功したことを発表した。
同社は自動配送ロボットも自社開発している。他社製ロボットを使って実証実験を行う企業もある中、川崎重工業が本気でこの分野に取り組んでいることが感じられる。
■カスタマイズが可能な多用途UGV
今回の実証実験は川崎重工業の明石工場において、2022年3月に実施された。従来有人トラックが担う工場内のエンジン運搬を、無人自動運転が可能な多用途UGVに置き換え、運搬業務を効率化できるかを検証した。
多用途UGVは、カワサキモータース製のオフロード四輪車両「MULE」に、無人自動運転システムを搭載している。レール不要の無軌道走行のため、工場に導入する際にも追加設備が必要なく、狭い通路も走行できるという。
多用途UGVはカスタマイズが可能で、パワーユニットはICEV(内燃機関自動車)またはEV(電気自動車)仕様のモーターが選べる。足回りはMULEの強みを生かせる未舗装路で走行可能なオフロードスタイルと、舗装路走行のオンロードスタイルの2種類ある。車上設備は人が乗車できるシートスタイルと、搬送内容に合わせたキャリアスタイルがある。
今回の実証実験ではEV仕様のモーターに、足回りは工場内走行に適したオンロードスタイル、車上設備にはエンジンの輸送に最適なキャリアスタイルが採用された。
■自動配送ロボットのプロトタイプも
川崎重工業の自動配送ロボットについても触れておこう。同社は2021年1月、自動配送ロボットの開発部門を発足させ、初期試作に3カ月、改良に2カ月を費やしプロトタイプを完成させた。
2021年11〜12月には墨田区および江東区エリアにおいて、川崎重工業とティアフォー、損保ジャパン、SOMPOケアの4社で、ラストワンマイル配送事業の事業性・技術性を検証する実証実験を実施した。川崎重工業は前述の自動運転ロボットを提供した。
同社が開発した自動運転ロボットの機体にはティアフォーの自動運転OS「Autoware」が搭載され、ロボットは片道約1キロの公道を走行し、医薬品や食品、日用品などの生活必需品を配送した。
【参考】関連記事としては「強力布陣で挑む!自動搬送ロボ、いよいよ都内で「車道端」も走行」も参照。
■川崎重工業への注目度がアップ
物流分野での人手不足解消や業務の効率化を推進すべく、多用途UGVや配送ロボットの開発に取り組む川崎重工業。この分野は世界的にもいまホットなビジネス領域で、同社の取り組みへの注目度はますます高まっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「航空機と配送ロボ、「無人×無人」で物資輸送!川崎重工、概念実証に成功」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)