テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏が、Twitterでまた話題になっている。「自動運転車が渋滞を狂気的レベルに増幅する」とツイートしたからだ。通説では自動運転車は渋滞の緩和に寄与するはずだが、なぜ自動運転車が渋滞を悪化させるのか。
■なぜ自動運転車が渋滞を悪化させるのか
自動運転車が渋滞を緩和させると言われてきたのは、高性能なセンサーが搭載された自動運転車の場合、前のクルマが動いたら即座に自車も動き出すことができるからだ。人間の場合、「反応の遅れ」が原因で自車を前進させるのが遅れ、これが渋滞の原因の1つとなる。
【参考】関連記事としては「自動運転車が渋滞を緩和させるワケ 米ミシガン大学の研究「たった1台でも軽減」」も参照。
しかしマスク氏は「Self-driving car will amplify traffic to insane levels」とツイートし、「Self-driving car(自動運転車)」が「insane levels(狂気のレベル)」まで「amplify traffic(渋滞を増幅)」すると強調している。
その理由としては、「as you won’t feel the pain of driving yourself」と述べている。日本語にすると、「(自動運転車は)自分で運転することに苦痛を感じないため」という意味だ。
少し強引に意訳すると、自動運転車にとっては渋滞が起きようが知ったこっちゃないため、結果として自動運転車は渋滞を悪化させる要因となる、と言いたいのだろう。
■確かに渋滞悪化を指摘する論文はあるが……
確かに、これまでに発表された自動運転車に関する研究論文の中には、自動運転車が渋滞悪化の原因になると指摘しているものもある。しかしその理由は「道路を走行する自動運転車が増え過ぎること」であり、マスク氏が指摘する内容とは異なる。
【参考】上記の研究論文については「注目論文…「自動運転車は逆に渋滞を悪化させる」 ライドシェア普及が要因?」を参照。
マスク氏の指摘は果たして正しいのか、それとも誤っているのか。自動運転社会が実現したあと、その答え合わせをしてみたい。
【参考】関連記事としては「イーロン・マスク氏の口は「災いの元」?米議員「自動運転と誤解」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)