秩父市生活交通・物流融合推進協議会は2021年12月6日までに、災害発生時と平常時をそれぞれ想定し、複数のモビリティを連携させた配送実証を実施したことを発表した。
連携の対象となったモビリティは4種類で、ドローンと鉄道、路線バス、自動搬送ロボット。同協議会は「複数のモビリティを融合した配送の実証は日本初」としている。実証実験は11月5〜26日に埼玉県秩父市で行われた。
実証実験は、災害発生時でも平常時でも交通や物流などの生活インフラを維持していけることを目的に実施された。災害発生時を想定した実験では「緊急支援物資」を配送し、平常時を想定した実証実験では「新鮮な野菜」を配送した。
■社会実装を2024年までに実現、その後は横展開も
秩父市の山間部では、少子高齢化によってヒトとモノの移動がともに困難になりつつある。また、同地域は豪雪で生活インフラが寸断されたり、台風の土砂崩れにより孤立集落が発生したりといった、災害時の脆弱性も課題として挙げられている。
そこで今回の実証実験では複数のモビリティを融合させ、こうした課題が早期に解決できるよう取り組んだ。実証実験では運行集中管理センターが設置され、各モビリティの位置情報をリアルタイムに取得できるようにし、効率的な配送指示につなげた。
秩父市は今回取り組んだ内容の社会実装を2024年までに実現させ、秩父市から全国への横展開を目指すとしている。
■ゼンリンなどが推進協議会に参画、今後に注目
今回の実証実験の主体となった秩父市生活交通・物流融合推進協議会は2020年11月に設立され、現在、下記の12の団体・組織などで構成されている。
- 秩父市
- ゼンリン
- 三菱総合研究所
- JR楽天ロジスティクス
- 西武ホールディングス
- 西武鉄道
- 西武観光バス
- アズコムデータセキュリティ
- オプナス
- 早稲田大学
- 東京電力パワーグリット
- 本庄早稲田国際リサーチパーク
民間企業としてゼンリンなどが参画しており、ゼンリンは今回の実証実験では実証実験全体の統括を担当したほか、運行集中管理センターの開設なども担った。
官民連携で秩父市の配送インフラをいつでも盤石なものとできるか、引き続き同協議会の取り組みに注目していきたい。
【参考】関連記事としては「AI配車で物流業界の課題に挑戦!ゼンリンが新サービスを発表」を参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)