政府は2019年度の補正予算案を2019年12月13日に閣議決定した。4兆4722億円の追加歳出を計上する形となり、この中にはモビリティ関連の予算も含まれている。高齢者の運転支援などに関するものだ。
閣議決定された補正予算案の中からモビリティ関連を中心に紹介していこう。
記事の目次
■「高齢運転者による交通事故対策」について
モビリティ関連ではまず、高齢運転者による交通事故を防止するための対策費として1134億円が計上されていることに注目したい。「サポカー補助金」として1127億円、「多様なモビリティの普及促進」として8億円という内訳だ。
「サポカー補助金」について
高齢運転者による交通事故を減らすためには、「対歩行者衝突東軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を装備する車の普及を加速させることは急務だ。そのためサポカー補助金では、65歳以上の高齢者を対象にサポカーの購入や後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置の購入を支援する。
ちなみに経済産業省は公式サイトで、その補助金の内容を下記のように説明している。
(1)車両導入補助事業
- 補助対象車両
①衝突被害軽減ブレーキ、②ペダル踏み間違い急発進等抑制装置を搭載する車であって、以下の要件のいずれかを満たすもの
イ ①及び②を搭載する車
ロ ①を搭載する車 - 補助対象者
令和元年度中に満65歳以上となる高齢運転者 - 補助額
イ:①及び②を搭載する車
登録車10万円、軽自動車7万円、中古車4万円
ロ:①を搭載する車
登録車6万円、軽自動車3万円、中古車2万円
(2)後付け装置導入補助事業
- 補助対象装置
後付けのペダル踏み間違い急発進等抑制装置 - 補助対象者
令和元年度中に満65歳以上となる高齢運転者に装置を販売する者 - 補助額
障害物検知機能付 4万円
障害物検知機能なし 2万円
「多様なモビリティの普及促進」について
自動車免許を返納するシニア層の移動手段の確保するため、電動アシスト自転車や電動車椅子などの多様なモビリティの普及促進のための活動や実証実験も行っていくという。
■「今後の競争力の核となる基盤技術の開発」について
次に、今後の日本の競争力の核となる基盤技術の開発として1116億円を計上している。ポスト5G情報通信システムや半導体の開発に1100億円、ドローン基盤技術開発に16億円という内訳だ。
大容量通信が可能な5G通信は各国で商用サービスが開始され始めているが、ポスト5Gでは超低遅延や多数同時接続などの機能が加わる。ポスト5Gは自動運転の開発に欠かせない技術でもある。
■「Society5.0、SDGsの実現に向けたイノベーションの推進」について
そのほか、SDGs(持続可能な開発目標)実現に向けた技術推進として、AIを用いた自動車完成検査に関わる技術開発や自動運転車の安全性評価に関わるシステムなどの技術開発向けに、28億円が計上されている。
■【まとめ】モビリティ関連に大きな予算額を計上
経済の活性化には安全を伴った移動の円滑化が欠かせない。そういう意味でも今回の補正予算でモビリティ関連には大きな予算が計上されているのは納得感がある。
経済産業省関係の補正予算案の概要については「https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2019/hosei/pdf/hosei_yosan_1213.pdf」から確認できる。興味がある方は一読を。
【参考】関連記事としては「2020年度概算要求、自動運転やMaaS関連の予算まとめ 国土交通省、経済産業省、内閣府」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)