株式会社Azit(本社:東京都港区/代表取締役:吉兼周優)は2019年2月5日までに、鹿児島県の与論島にて、MaaSプラットフォーム「CREW」の定常的な提供を2019年4月以降に開始することでヨロン島観光協会などと合意したと発表した。与論島の観光ハイシーズンである4〜10月にかけてCREWを運用する。
与論島で行った実証実験を踏まえ、自家用車に加えて地域のタクシーも配車可能にする計画。地域の持続的な移動手段を確保する観点から、今後は道路運送法で定める「自家用有償旅客運送」という枠組みを用いることも視野に入れているという。
同社は「同一アプリで、一定エリア内でのタクシー配車、自家用車の配車が共に可能となれば、本邦初の事例となります」と強調している。
■実証実験を成功させ、ユーザーからも高評価
実証実験は2018年8月に公共交通機関不足が課題となっている与論島でAzitと与論島観光協会が共同で実施。島民の数人〜10人程度がドライバーとして稼働し、CREWを通じ観光客の移動をサポートした。
結果として観光客の多い時期に実施されたことにより、総ライド距離約130キロの利用実績を積むことに成功し、ドライバーと乗客の双方からも高い評価を受けた。現地のヨロン島観光協会とタクシー事業者の強い意向もあり、このたび本格的な運用が決定した。
与論島は鹿児島県最南端に位置する島。沖縄本島からわずか23キロに位置し、島の周囲をサンゴ礁が囲む隆起サンゴ礁の島として知られる。年間7万人超の観光客が訪れている中、観光名所である百合ヶ浜への移動などバス1路線タクシー8台では観光客の移動需要を満たせない厳しい事情が続いている。
■CREWの仕組み:謝礼の支払いは任意
CREWはAzitが提供する謝礼型のMaaSプラットフォームだ。アプリに出発地と目的地を入力するとCREWパートナーと呼ばれるドライバーとマッチングし、目的地まで送ってもらうことが可能となっている。乗車した方がガソリン代の実費とシステム利用料を払う仕組みだ。
また、CREWでは「謝礼の支払はあくまでもユーザーの任意で行われるもので、強制されるものではありません」という説明がされていて、道路運送法で禁止される自家用車による有償での運送は認めておらず、謝礼は利用者の任意で支払われるとしている。
こうした離島を舞台にした取り組みが今後大きなうねりとなり、日本の観光産業の活性化に広く寄与していく可能性に期待したい。
【参考】関連記事としては「モビリティスタートアップのAzit、10億円資金調達 謝礼式のドライブマッチングアプリ「CREW」の事業拡大へ」も参照。